DX(デジタルトランスフォーメーション)推進コンサルティング 株式会社アイ・ティ・イノベーション

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ホーム > 事例紹介 > 双日テックイノベーション株式会社 様(旧:日商エレクトロニクス株式会社)

PMOの導入で組織的マネジメント力が向上、
プロジェクトの受注数や規模が拡大、売上アップを実現

課題
  • プロジェクトの成否が部署や個人の能力に依存しており、サービス品質の平準化が図れない
  • PM不足から、ニーズがありながらもプロジェクト数を増やせず、ビジネス上の機会損失が発生
解決
  • 事業本部内における、PMO組織の設置、運営を支援。一定のルールの下、個々のプロジェクトを横断的に確認し、コントロールするポジションの創設と育成に着手した。開発メンバーのプロジェクトマネジメントを標準化することで、サービス品質の向上と平準化に成功
  • 事業部内PMOが機能することにより、プロジェクトマネジメントの標準化とあわせて効率化が図れ、対応できるプロジェクト数や規模が拡大した。機会損失が減り、事業本部の売上は右肩上がりに
日商エレクトロニクス株式会社 様

導入の背景

日商エレクトロニクス様は、設立以来、海外の最先端テクノロジーを日本に紹介する、IT分野の商社的な役割を担っています。特に通信業界向けのネットワーク機器や、製造業、金融業などのエンタープライズ事業向けシステムの販売に強みがあります。アプリケーション事業本部は、ソフトウェアに関する事業全般を担い、「Natic(ネイティック)」ブランドで幅広い業界に向けたDXソリューションを開発、提供しています。
近年の急激な社会変化に伴い、日商エレクトロニクス様にもさまざまな要望が寄せられています。しかし、アプリケーション事業本部が管轄するNaticブランドでは、急増するお客様ニーズに応えられる体制の維持が難しく、プロジェクトの属人化や品質のバラつき、キャパシティ不足による機会損失が大きな課題となっていました。もともと9つのソリューションが統合化された経緯があり、プロダクトごとに開発ルールやマネジメント手法が異なっていたことも問題でした。また、プロジェクトの成否は個人に依存するところが大きく、品質を担保するため課 題解決にも組織力の強化が急務でした。
この課題に対処するため、自ら課題解決のプロセスを実践して知見を蓄えることを目的に、アイ・ティ・イノベーション(ITI)のPMO組織設置・運営支援の導入を決断。2021年4月に「事業本部PMO」を発足させ、品質向上と平準化を目指す「守り」と、販売機会損失を無くす「攻め」を、並行して対策することを目指すプロジェクトがスタートしました。

  • アプリケーション事業本部 本部長長谷川 健 様

  • アプリケーション事業における、「営業」「開発」「マーケティング・企画」全体の統括責任者を務める。

  • アプリケーション事業本部 副本部長小北 洋史 様

  • 同事業において、主に開発部門の方針策定、戦略推進、管理業務に取り組むほか、本部長のサポート役として本部全体の方針決定および管理業務全般を支援する役割を担う。

  • アプリケーション事業本部 アプリケーション開発一部 部長田辺 康弘 様

  • 同事業において、主にプロダクト商材関連の開発を担う。事業本部内PMOでは組織主幹を務める。

  • アプリケーション事業本部 アプリケーション開発一部
    プロジェクト推進室 室長藤井 徹 様

  • プロジェクト推進室長として、実務レベルで事業本部内PMOの推進および定着に取り組む。各プロジェクトの現場に対して支援する役割を担う。

※本事例は、2023年10月に取材したものです。法人名、人物の肩書などは取材当時のものです。

3年におよぶ実行計画。肝は課題のあぶり出しとNPM塾

藤井氏を室長とする「プロジェクト推進室」が発足し、ITIからは3名の専任メンバーをアサインしました。Naticの各プロダクト部門の代表者から、約1カ月で現状を徹底的に調査。各プロダクト部門の強みと弱みを明確にし、課題を洗い出したうえで、➀制度・組織・機能の改善、➁プロセス・ルールの改善、➂PMスキルの向上の3項目を施策の柱としました。アプリケーション開発部・部長の田辺氏は、「ITIから提示された各部門の強みと弱みの一覧表を前に、品質の向上や平準化は一朝一夕にはいかないぞ、と腹をくくった」と、当時を振り返ります。
3年スパンで導入計画を立て、1年目は土台作りに徹し、メソッドの確立を目指しました。2年目は定着・浸透に向けた仕組み作り、3年目は自立自走を目指すプランです。藤井氏は、「当時、プロジェクトマネジメントに関してはさまざまなメソッドがあったものの、どれも時流にフィットしているとは言い難く、誰もが使える汎用性にも欠けていた」と語り、まず初級のPMでも理解できるNaticブランド専用の標準的なメソッドを整備し、品質のスタンダードを揃えることを目指すことにしました。
定着・浸透を目指す2年目には、PMやPM候補者約60名を対象に「NPM塾」と呼ばれる講座を開設。事業本部内PMOとITIでオリジナルテキストを作成し、90分の講座を毎月1回、1年にわたって12回開催しました。反響は大きく、回を重ねるごとに、その趣旨や目的、内容の理解度が進み、参加者の成長、熱量が感じられるようになりました。「最初は『何をやるの?』と疑心暗鬼だったエンジニアへの啓蒙活動から始めて、徐々に人を巻き込み、浸透させていった」と、田辺氏は語ります。

トラブル案件が激減、売上は右肩上がりに

3年目からは、計画通り「自立自走」のフェーズに入りました。ここまでの施策により、目覚ましい効果が見られました。特にPMが使うガイドラインやテンプレートツールを標準化し、サンプルの充実を図ったことなどにより、プロジェクトの計画から実行までの過程が明確になりました。プロジェクト計画書などはフォーマットが統一化され、作成側もレビュー側も、過不足のない整然とした情報をもとに議論ができるようになりました。多数のプロジェクトを監修する立場の小北氏は、「すべてのプロジェクトを同一の視点で把握できるので、理解しやすくなった」と語ります。従来属人化していた業務を「見える化」し、統一ルールやテンプレートによりあらゆる業務の標準化を進めたことにより、業務全体が効率化されました。
プロダクトの品質も、明らかに向上しました。長谷川本部長は、「この2年間、コストオーバーや納期遅延などのトラブルは発生していない。手掛けられるプロジェクトが増えたり大型化したりしているため、アプリケーション事業本部としての売上も右肩上がり。我々は、品質と生産性をともに向上させるメソッドを手に入れた」と、PMO組織設置・運営支援の効果を評価しています。

PM人材の育成と、新たなビジネスモデルの構築が目標

自立自走フェーズにある今、これからの目標はPM人材の育成です。まず、初級PMから上級PMまで広いレンジにある人材レベルを可視化し、定量的にレベルアップを図る仕組みを構築する予定で、レベル別研修プログラムの開発も計画しています。
日商エレクトロニクス様とITIは、2021年より資本業務提携し、お客様の経営ビジョンに沿ったIT企画からシステム構築までのサービスを、一気通貫で提供する体制が整いました。小北氏は、「システム企画、プロジェクト推進に悩みを抱えているユーザー企業は少なくない。ITIのように知見豊富な会社の伴走支援があれば、システム提供者として、プロジェクトの成功率が高まる。ユーザー支援の面でも協業を期待したい」と語ります。長谷川氏も、「ITIの実績はかねてより高く評価していた。資本業務提携を機に、IT戦略コンサル業務とシステム開発をセットに新たなサービスモデルを構築し、ビジネススキームを活性化していく。お客様の経営課題解決に資するサービス提供にタッグを組むとともに、サービスを受けた側としての知見も、お客様にシェアしたい」と、熱意を語りました。
ITIも、日商エレクトロニクス様の品質向上に向けての真摯な取り組みを目の当たりにして、感銘を受けました。両社の得意とする事業分野で相乗効果を発揮し、お客様企業の事業価値の最大化に貢献できるよう、これからも切磋琢磨してまいります。 事例資料のダウンロード(PDF形式)はこちらから

お客様情報

社名 日商エレクトロニクス株式会社
本社 東京都千代田区二番町3-5 麹町三葉ビル
設立年月日 1969年2月24日
代表者 代表取締役社長 CEO 寺西清一
事業内容 国内外の最新ソリューションによるネットワーク・ITインフラ構築、システム開発、運用・保守などのサービス提供、およびDX支援
職員数 (連結)964名(個別)780名
(2023年3月31日現在)
Webサイト https://www.nissho-ele.co.jp/
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