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「人間を考える」を読んで ~松下幸之助が到達した哲学に学ぶ その4 人間道における重要ポイントまとめ~


私たちは、4回にわたって松下幸之助の哲学を学んできた。まとめとして、「人間道」の重要ポイントを掘り下げることにする。

前回のブログでも解説したが、「人間道」とは、正しい人間観に基づき、共同生活を進めていく道のことである。宇宙の原理同様に、人間道によって共同生活をより発展させていくことがその神髄である。

ここで、人間道での重要ポイントを以下に取りまとめることとする。

重要ポイント(1) いっさいを容認すること
人や生物、モノも、すべてをあるがままに容認する。万物すべては、意味のある存在であり、人間のエゴや都合で否定したり、排除したりしてはならない。宇宙レベルでのモノの見方をすれば、すべては意味のある存在で尊重しなければならない。いっさいを容認したうえで全体を見て「生かす」ことを前提に、どうすべきかを衆知を集めて良く考え、行動することが寛容である。

重要ポイント(2) いかに処遇するか
処遇とは、あらゆる物事に対する処置・対処のことである。人間道の前提である「人間観」では、人間は、生き物、存在するのものの中で「万物の王者であり、万物に様々な影響を与える唯一の存在」である。故に、王者にふさわしい考え方・行動を取らなければならない。

人間は、万物を支配し、好きに処遇、対処できる力を持つ。人間の意思で万物を好きに扱うことができることは事実であるが、王者として宇宙から与えられた力には、責任を伴う。

責任ある処遇とは、人も物もあるがままに容認し、それらの特性や性質を理解したうえで、生かしていくように処遇することが、極めて重要である。

重要ポイント(3) 礼
礼とは、最も目に見えにくい概念であるが、人間道において最も重要で、扱いが難しい存在である。

礼の精神とは、すべての存在に感謝と喜びの心を持ち、その心を素直に表していくということである。様々なものによりお互いの共同生活が成り立ち、自らが生かされていることを正しく知るときに、自然に感謝の気持ちが湧いてきて、様々なものに敬意を表することができるようになる。 

礼とは、慈悲、愛の精神、感謝、謙虚、寛容など広い意味においての「愛」である。共同生活では、様々な問題課題が出現するが、自分の利益をひとまず脇に置いて、あらゆる時も「愛」の精神で物事にあたることこそが、物事をうまく運ぶ秘訣となる。

「容認」や「処遇」は、行動そのものであり、衆知を集めて実行するものなので意識しやすいが、「礼」は、人間道をうまく運び、持続、継承させる「潤滑油」や「ビタミン」のような存在である。見えにくいものだが、「人間道」を未来に向かって繋いでいくうえで、欠かせない要素である。人間は、「共同体」を形成し、道を開拓し、問題を解決し、発展していくものであるが、この見えにくい「礼」こそが重要であり、誰もが意識し守っていかなければならない存在なのだと私は確信している。

会社をはじめとする社会活動には、人間道の考え方が重要である。この精神を尊重して共同体を運営して行きましょう。

最後に、松下哲学を4回にわたりお読みいただいた方々に感謝いたします。


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林衛
IT戦略とプロジェクトマネジメントを中核にITビジネスのコンサルティングを行うアイ・ティ・イノベーションのファウンダーであり社長を務める。◆コンサルの実践を積みながら英米のIT企業とかかわる中で先端的な方法論と技術を学び、コンサルティング力に磨きをかけてきた。技術にも人間にも精通するPM界のグランドマスター的存在。◆Modusアカデミー講師。ドラッカー学会会員、名古屋工業大学・東京工業大学などの大学の講師を勤める。

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