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素直に心許せる付き合いこそが素晴らしい ~同窓会。縦と横の絆~


今回は、「日本のIT産業を新しい世界観で創りかえる」シリーズは、一回お休みにして、少し柔らかい話を書くことにした。

私は、名古屋生まれ、名古屋育ちで大学を出るまで、名古屋しか知らなかった。小学校、中学校、高校、大学は、自宅から通える範囲にあり、それを望んでいたしそれで良い(今は、まったく違うのであるが)と考えていた。高校は、愛知県立の中堅クラスの高校に進学した。 
私の母校の特徴は、いわゆる進学校ではないが、スポーツや芸術が比較的盛んであり、高校の立地は、環境の良い住宅地の中にあり良家の子息も多かった。校風は、かなり自由であり、進学に対しては、個人の意思を尊重し少し緩めなので、進路が多様化する傾向にある。男女の比率が、50:50であるのも特徴だろう。愛知県立でありながら、私学のような雰囲気があった。
私の高校時代、日本は高度成長期にあったので、世間の一流進学校なら、男子は国立理系を目指し学者かエンジニアになるというのが、世の中の風潮だった。そのような時代でも母校の雰囲気は“暖かくゆるい”雰囲気で“〇〇温泉”と呼ばれていた。

そうなると勉強する人はするけれども、そうでない人は、それなりに比較的自由に自分の将来のことを考える。良い大学を目指して有名企業への道に進む人もいるが、脚本家、小説家、芸術家、音楽家になる人もいれば、家業を継ぐ人もいるというように、結果として多様な進路に進んでいくことになる。卒業生の三分の二は、家のある名古屋にとどまり、残りの三分の一が、主に関東、関西に出ている。

我が高校は、他校に比べると卒業後の同窓会での人の結束がかなり固く、設立81年になり、愛知、東京、関西の3か所で同窓会組織があるが、会を催すと30代の人から80歳を超した同窓生まで、かなりの数集まってくる。高校時代に学業での勝ち負けやギスギスした雰囲気がなかったので、他人の道を尊重できるし、ボランティア精神、母校へ貢献しようとする心が強いと感じる。これは、素晴らしいことではないかと私は思っている。

2020年に各地での同窓会や設立80周年記念行事が計画されていたが、コロナ禍で行事が思うようにできないままでいた。しかし同窓会長の提案で、同窓会ゴルフツアーを実施することになり、先週二泊三日で北海道に行ってきた。久しぶりの大会場での親睦会、観光、ゴルフ。総勢40名あまりの同窓生が参加した。

なぜ、北海道ツアーかといえば、恵庭カントリー倶楽部のオーナーが、私より9期上の同窓生なのだ。オーナーは、名古屋の事業家であったが、20年程前に事業を売却し、恵庭カントリーのオーナーになり、4つのゴルフ場のなどの経営にあたっている。オーナーは、同窓生のためにかなりの支援をしてくれた。

恵庭カントリーは、日本でのプロのメジャーな大会を複数回実施している名門クラブで、アマチュアゴルファーであれば、一度は、プレーしたくなるゴルフ場の一つである。雄大な自然の中でプレーしながら同窓生の親睦を深める。卒業して30年から50年以上経っている参加者が中心であったが、世代を超えた絆を深めることができたと思う。また、母校の近況を同窓会長、先輩から聞くことで、母校への愛情も共有できた。私が印象に残ったことは、元校長先生夫妻と趣味や学校の話などを交えてゴルフのプレーを楽しくできたことである。(もちろん私が、通っていたころの校長先生ではない)

現同窓会長は、72歳で、今年会長を引退し、会長の若返りを図るようである。世代の違う同窓生は縦のつながりであり、同級生は横のつながりであるが、私は改めて、縦と横のつながりの重要性と楽しさを認識することができた。私より先輩の参加が多いが、後輩に声をかけた結果、思ったより多くの後輩が参加してくれたので、先輩後輩の新たな関係が築けたことは、大きかった。

校訓には、「愛 敬 信」 師弟共に、あい愛し、あい敬し、あい信じあうとある。行動や判断に迷ったとき、愛、敬、信の校訓に照らして進む道を選びます。

学生時代は、校訓の意味を理解していなかったが、卒業して50年経ってみて同窓生の繋がりに、校訓が深く関係していることを実感した。

来年もう一度、大自然の恵庭カントリーでプレーしたいと思う。

※恵庭カントリー倶楽部
http://www.eniwa-cc.com/


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林衛
IT戦略とプロジェクトマネジメントを中核にITビジネスのコンサルティングを行うアイ・ティ・イノベーションのファウンダーであり社長を務める。◆コンサルの実践を積みながら英米のIT企業とかかわる中で先端的な方法論と技術を学び、コンサルティング力に磨きをかけてきた。技術にも人間にも精通するPM界のグランドマスター的存在。◆Modusアカデミー講師。ドラッカー学会会員、名古屋工業大学・東京工業大学などの大学の講師を勤める。

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