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音楽は、人生の変化に応じた自分の感覚に気づきを与えてくれる ~ 気に入ったJazz、Bill Evansを聴く ~


「私は、海外出張や国内出張の際には、時間を見つけては、美術館、生の音楽を聴ける場所(特にミュージカルやJazzの聴ける場所)などに、何とか時間の都合をつけ足を運んでいる」と前回のブログに書いた。外出の際も、車での移動中も、80%以上の確率でJazzを楽しんでいる。

今回の話題は、Jazzである。私の人生にとってJazzは、大切な存在である。

私が、Jazzを好きな理由は、「自由であること」である。
Jazzは、一定のルールを守れば、演奏者は、自由に楽曲を解釈して好きな表現を取ることができる。クラシックのように伝統があり、守るべき形があるものではない。特に、1950年代に始まったモダンJazzでは、美しさと自由の両立が可能になった。このスタイルが、多くの優れたミュージシャンを育ててきたといっても良い。
私は、高校2年の頃からJazzの猛烈なファンになり、50年間、ほぼ一日も欠かさずJazzを楽しんできた。マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、クリフォード・ブラウン、スタン・ゲッツなど、あらゆるJazzを楽しんできた。その中で最も印象に残っているJazzピアニストは、ビル・エヴァンス(Bill Evans)である。

ビル・エヴァンスは、1929年生まれのアメリカの白人ジャズピアニストで、モダンJazz時代の先駆者的な存在である。ビルには「光と陰」があり、センスあるコード感を持ち、とても美しくもの悲しい旋律を奏でるミュージシャンの一人である。
ビルの母は、ロシア系であり、父親とともにクラシック音楽に造詣が深く、チャイコフスキー、ラフマニノフ、ストラヴィンスキーなどのロシア系のクラシック音楽に触れながら幼年期を過ごした。また、大学に進み正当な音楽の教育を受けた後、兵役の後に、黒人が中心のJazz黎明期の変化と飛躍に満ちたモダンJazzの世界に飛び込んでいった。

ビルの「光」の側面は、大学で正当な音楽教育を受けた後に、Jazzという自由の世界で、音楽の美しさとテクニックを追求し続けたことである。彼の旋律、音の調和に対する姿勢には、特筆すべき非凡な才能に満ち溢れており、それまでのJazzのスタイルを一変させた。
一方、「影」の側面は、兵役中に覚えたドラッグの世界からどうしても抜けだせなかった悲壮さであり、生活は乱れ、兄弟や親しい友人との悲しい別れなどが数多くある暗い人生を送った。「光と影」を併せ持つが故に、誰が見ても恵まれない、不幸な人生を送りながら、Jazzという自由な世界で、音楽だけをこよなく愛し、51歳で亡くなる瞬間まで、洗練されたJazzを求め続けた人であるということ。ある意味、自分に正直で人間らしいのがビル・エヴァンスである。

1950年代入るとJazzは、閉鎖的な世界から自由な表現を求めるモダンJazzの時代に入る。その時代、Jazzの巨匠マイルス・デイヴィスらは、画一的なJazzの手法を、形にとらわれず自由に内側にあるものを、これまでに無い洗練した表現で打ち出す方法を目指した。マイルスは、このような背景からビルのスタイルと才能を必要としていた。ビルは、マイルスのバンドに加わっていたが、白人であることやドラッグの問題などがあり、バンドを離れることになった。

しかし、そののちにマイルスらの後世に残る傑作アルバムである「Kind of Blue」の制作時には、再び、ビルを呼び戻し、Jazzの歴史上に残る最高傑作を生みだした。このアルバムは、マイルスのアルバムであると世間では認識がされているが、ビル・エヴァンスの協力と演奏があってこそ素晴らしく、Jazzの歴史に残る最高の作品に仕上がったといえる。(ちなみに私は、大学1年生からずっとこのアルバムを聴いている。)

ビル・エヴァンスの代表的な作品を紹介しよう。

Blue In Green:マイルス・デイヴィスのアルバムKind of Blueより
Very Early:ビル・エヴァンスの、サウスイースタン・ルイジアナ大学時代の作品
Waltz for Debby:2歳で幼かった姪のデビィのために作曲したワルツ

これ以外にも相当数の作品があるが、どれも傑作揃いである。上記の曲は、ネットですぐ動画が見つかるので、興味がある方は、是非、聴いてみて欲しい。

映画 『ビル・エヴァンス タイム・リメンバード』 は、2015年の作品であり、ビル・エヴァンスを理解するのに最良の映画・ドキュメンタリーである。

”今の自分にとって、ジャズは私の人生そのものだ”とドキュメンタリーの中で語り、その中に、ビル・エヴァンスの名言がある。

Discipline and freedom have to mix in a very sensitive way.
I believe all music is romantic,
but if it gets schmaltzy, romanticism is disturbing.
On the other hand,
romanticism handled with discipline is the most beautiful kind of beauty.

技能と自由は極めて繊細な方法で統合すべきである。
音楽はすべてロマンティックだと僕は信じるが、
大げさなロマンティシズムも煩わしい。
その一方、
磨かれた技能で扱われたロマンティシズムは最も美しい「美の中の美」である。

ビル・エヴァンスの素晴らしさは、ここまでJazzを追求し、極めたことにある。

普通の人は、自分の仕事に対して、ここまで技術を磨き、到達できるだろうか。才能ある人がとことん努力して、ここに書かれているような言葉が出てくるのだ。Jazzに限らず、アートは、素晴らしい。

私は、いつも自分の内面と向き合うときに、ビル・エヴァンスのようなJazzを聴く。


       

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林衛
IT戦略とプロジェクトマネジメントを中核にITビジネスのコンサルティングを行うアイ・ティ・イノベーションのファウンダーであり社長を務める。◆コンサルの実践を積みながら英米のIT企業とかかわる中で先端的な方法論と技術を学び、コンサルティング力に磨きをかけてきた。技術にも人間にも精通するPM界のグランドマスター的存在。◆Modusアカデミー講師。ドラッカー学会会員、名古屋工業大学・東京工業大学などの大学の講師を勤める。

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