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”アート”は人生の変化に応じて自分の感覚に気づきを与えてくれる ~モディリアーニ展に行く~


新型コロナウィルス感染症の発生から2年半近くが経ち、ようやく感染防止と経済社会生活の両立が考えられるようになってきた。そんな中、久しぶりに出張で大阪に行き、出張先企業のCIOから新名所『中之島美術館』を紹介された。せっかくなので、東京に帰る日の朝の時間を使い、立ち寄ることにした。

私は、海外出張や国内出張の際には、時間を見つけては、美術館や生の音楽を聴ける場所(特にミュージカルやJAZZの聴ける場所)などに、何とか時間の都合をつけ足を運んでいる。

中之島美術館は、2022年2月2日にオープンした美術館である。新しい美術館でありながら大阪の歴史や良さを発信するとともに、意欲的に、展示会などを企画し、19世紀後半から現代までの美術とデザインを専門としているのが特徴である。また、外観の設計やモニュメントも素晴らしい。これから先は、さらに存在感を示し、日本の有数の美術館になるだろう。

私が、たまたま立ち寄った日は、開館記念特別展として、モディリアーニ展が、開催されていた。モディリアーニの作品は勿論のこと、ピカソ、ロートレック、ルノアール、シャガールなどの作品も展示されており、20世紀のパリのアートを体系的、歴史的に理解することができ、また、展示手法も工夫されていてわかりやすく、説得力のある方法を取っていると感じた。

20世紀初頭のエコール・ド・パリ(フランス以外から芸術家を目指しパリで活動していた芸術家達の総称)の画家たちが、様々な思い、志を持ち、活動していたことがリアルに理解できる。

さて、20世紀を代表する画家であるアメデオ・モディリアーニ(Amedeo Modigliani、1884-1920、イタリア)は、誰もが美術の教科書や本などで作品を見ているはずである。ピカソや藤田嗣治(ふじたつぐはる)とも親交があったようで、私は親しみを感じる。生まれつき病弱であったようで、持病を抱えながら酒におぼれ、自由奔放な生き方をし、35歳で生涯を終えた。

作品のほとんどが人物画であり、女性を描いた作品が多く、作風は個性的で特徴がある。顔などが、細長くアーモンドのような形で描いている。敢えて、目を輪郭だけで(ふつうは目を描けば、瞳は入れるが)表現している作品も多くある。恐らくこれが、見る人の想像力を増すのかもしれない。どの作品も写真で撮ったような画風とは異なり、心に映った内面を自分の作風に合わせて、再度創り上げた構想の人物として見せている。多分、モディリアーニが、対象の内面を感じるままにキャンバスに映すと、そのような形になるのだと思う。私のような芸術に疎いものにも、最初からインパクトを与え、見るたびに新たな発見がある。まるで語りかけてくるような印象がある。

50年以上前に、初めてモディリアーニの作品を見た時は、「なぜ、こんな姿? 目に映る姿とは異なる表現は、何を意味しているのだろう?」と考えさせられた。
今の私は、それなりの歳になり、作者の意図や作品が前とは違う何かを語りかけてくる。

作品は、年月とともに変化し、鑑賞する側も感じ方が変わってくる。不思議であるが、共に生きていて変化と成長、円熟を感じる。物理的には、同じもののはずであるが、それぞれが変化したかのような状況になっているのは、不思議である。モディリアーニが、対象の人物の本質を深く見極め作品に描き込んだ結果だ。

モディリアーニの作品は、出会ってからじわじわと心に入ってきて生きている。自分の経験や心の状況により、感じ方が変化してくる。まさに、これが傑作の所以だろう。

10年後に、再び出会ったときには、何を語りかけてくるのだろう。楽しみにしよう。

大阪中之島美術館
※開館記念特別展 モディリアーニ ─愛と創作に捧げた35年─


       

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林衛
IT戦略とプロジェクトマネジメントを中核にITビジネスのコンサルティングを行うアイ・ティ・イノベーションのファウンダーであり社長を務める。◆コンサルの実践を積みながら英米のIT企業とかかわる中で先端的な方法論と技術を学び、コンサルティング力に磨きをかけてきた。技術にも人間にも精通するPM界のグランドマスター的存在。◆Modusアカデミー講師。ドラッカー学会会員、名古屋工業大学・東京工業大学などの大学の講師を勤める。

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