そもそも、デジタルトランスフォーメーション(DX)の原点は何であろうか?
「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」ということは、既に初回のブログで説明した。
(参考)【連載:DX超入門】その1 DXとは何か
私が、お客様やITビジネスの関係者の方と話をして気が付いたことは、DXの領域に関して間口(お客様の考えているスコープ)がとても狭いということである。その2、その3で散々述べてきたことは、間口が変わるということである。現状と同じ間口でどんな組織のDXを語っても意味がない、と私は考えている。
テーブルの真ん中に、お茶碗が置いてあるとする。これまで取り組んできた領域が、エンタープライズ(業務の基幹システム)だとしよう。エンタープライズの話しは、お茶碗の中の話しである。お茶碗からの視野でテーブル全体の話は、そもそも無理がある。 お茶碗の形状や中の課題を出発点にいくら調べても、DXに真っ向から取り組むことはできない。基幹システムの担当からしてみれば、これまで大きな領域で、長い間、苦労したように感じるのは当たり前であるが、出発点を間違えれば、より良い結果を生むのは難しい。
本当にDXに取り組むということは、テーブル全体の中でお茶碗を正確に位置付け、俯瞰的、創造的な新しい目でITの真の活用を検討しなければならない。重要なのはスコープであり、これまでの延長線上でDXを考えるべきではない、ということである。ITの高速化、処理能力、インテリジェント化が飛躍的に向上したために、限られたスコープで考えてきたITが、より広い領域で適用できるようになったということである。人の経験は、時として裏目に出ることがある。習慣化された考え程怖いものはないと私は思っている。思い込みや経験を一旦、頭から取り除いて、それぞれの組織でのDXの出発点、スコープを定義し、成功へのアプローチを一緒に考えて行こう。
さて、DXに対して出発点とスコープの重要性は、理解できたと思う。
具体的に何をはっきりさせれば、DXを成功に導けるのか?
これから、数回に渡ってDX成功へのアプローチについて、以下の観点で解説を進めることにした。既に筆者は、2,3年前からDX成功4つのポイントとDX推進を妨げる壁を明確にしている。
【 DX成功のための4つのポイントとDX推進を妨げる壁 】
ポイント1 企業がDXに取り組むための定義・意義
ポイント2 企業の事業視点でのDXビジネス対象ドメイン
ポイント3 ITアーキテクチャとアプローチ・手法
・企業が保有するITアーキテクチャ視点でのDXの対象
・DXの課題解決のためのアプローチ・手法
ポイント4 組織と能力
・人・組織をどのように動かすか
・企業が備えるべき能力
・DX推進を妨げる壁について
各ポイントについて、次回以降のブログで、一つ一つ解説していきます。それでは、次回をお楽しみに。