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私がITアーキテクトに目覚めるまで


 はじめまして、アイ・ティ・イノベーションの松井です。私は現在、ビジネステクノロジー戦略部のコンサルタントとして、お客様企業のエンタープライズレベルのITアーキテクチャデザイン策定をご支援させていただいています。今回は自己紹介を兼ねて、私がITアーキテクトに目覚めるまでをお話したいと思います。

 私がIT業界に入ったのは1990年、世はまだバブル景気の時代でした。当時、多くのユーザー企業の情報システム子会社がSIer(システムインテグレーター)として外販ビジネスを拡大し始めていた頃です。私もユーザー系SIerのエンジニアとして、社会人人生を歩みはじめます。当時、お客様となるユーザー企業の多くは、自社ホストで内製した業務システムを持っていました。そこへ、オープン&ダウンサイジングの波が到来し、クライアントサーバ・アーキテクチャをベースにしたシステムへと再構築することがトレンドとなっていました。また、リレーショナルデータベースが商用製品として使えるものがようやく出てきた頃でもあります。私は元来、好奇心旺盛でしたので、新しいものを目にするとついいじってみたくなります。仕事と関係なくても新しく出てきたOSやDBを触ったりしていました。そうこうするうちに、周囲の私への評価は「技術オタク」で定着していきました。そのせいもあるのでしょう、参画プロジェクトにおいて、システム基盤の整備や標準化といった技術支援的な仕事も増えてきました。そのおかげで、サーバやミドルウェアといったインフラストラクチャ技術に触れる機会も多く持たせていただきました。

 その好奇心は技術に留まらず、ユーザー企業の現場の業務にも向かいました(基本的に、何にでも興味を持ってしまう全方位型なのです)。みなさんも、プロジェクトではお客様とのコミュニケーションが大切だと教えられると思います。本当にその通りだと思います。そして、そのコミュニケーションの前提にあるのが相手への関心(好奇心?)でしょう。私の場合は、ユーザー企業の業務、もっと言えばビジネスを理解したいという思いを強く持ちました。

 その結果として、私のプロジェクトへの関わり方もだんだん固まってきます。一言で言えば「技術と業務の両方がわかるエンジニア」。別の言い方ですと、開発側から見るとユーザーの思いを代弁する人、顧客ユーザー側から見ると技術でできること・できないことを伝えてくれる人。そして、両者の橋渡しができる人。このまま経験を積んでいけば、かなりいいところまでいけるんじゃないかと天狗になっていた時期でもあります。

 しかし、転機(天狗の鼻をへし折られるとき)は社会人10年目にやって来ます。IT業界は2000年を迎え、Webの時代に入っていました。そこで私にとっては初めての経験となるWebアーキテクチャベースのシステム開発を、プロジェクトマネジャー兼業務SEとして担当しました。扱う業務ドメインは馴染みの薄いものでしたが、開発規模は比較的小さく、なんとかできるだろうと進めていましたが、大きなしっぺ返しを受けます。
今思えば恥ずかしいことですが、主な問題点は次の2点でした。
・アーキテクチャのミスマッチ(クラサバの常識でWebアプリの仕様策定をしてしまった)
・業務のミスマッチ(業務ドメイン固有の要求仕様の理解が不足していた)
当時の開発メンバーには相当な苦労を強いてしまいました(本当にすみません)。

 この経験によって、システム開発の成功には技術とビジネスの本質(表面的ではなく)の理解が不可欠ということを再認識しました。お客様が私たちに求めているのは、技術とビジネスの本質の理解に裏付けられた真のソリューションであると。ここで求められるのは、開発側とビジネス側の橋渡しするだけに留まらず両者が一体となった役割であると。そして、こうした役割を果たすために自らのスキルをもっと高めていく必要があると。

 ここから私のキャリアの旅は、技術&ビジネス両方のスキルを高めていく方向に進んでいくことになります。後に自身の目指す姿がITアーキテクトと一致することを知ります(当時はまだITアーキテクトという職種はほとんど認知されていませんでした)。そして、その旅は当時(2000年)から現在に至るまで未だ続いています。

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 近年、ITアーキテクトにとってチャレンジングな時代になりつつあります。大きな流れの一つが、アーキテクチャという言葉が指し示す範囲の変容です。ITの世界では、本来コンピュータや情報システムの構造を表すのに使われていたこの言葉が、どんどんその範囲を広げ、至る所でアーキテクチャという言葉を目にするようになりました。また、時代のスピード感が全く変わってきたという点もあります。日進月歩で進化する技術を前に、昔のように時間をかけて習得するということが許されなくなってきています。
同時にまた、これからますますITアーキテクトの役割を担うことのできる人材は求められるでしょう。ITアーキテクトにとって今まで以上にやりがいのある時代が既に目の前にあるということを感じます。だからこそ、ITアーキテクトは自らの役割を変容させていかねばならないという思いを強くしている今日この頃です。

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 今回は、自己紹介に留めるつもりでしたが、ついITアーキテクトへの思いが溢れ出てしまいました。次回からは、ITアーキテクトとして日頃考えていることや、新しい気づきや学び(私も変容の途上なのです)を書き連ねていきたいと思います。
ITアーキテクトというのは、とてもやりがいがあってワクワクする仕事です。また、専門職としての誇りを持ち、人生をかけるに値する仕事です。これからITアーキテクトを目指す方々へこうしたことの一端でも伝えることができたら、また志を同じくする多くの実践者の方々に少しでも共感していただけたらと考えていますので、今後とも末長くお付き合いください。

 


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松井淳
1990年よりシステムインテグレータにて、レガシーからオープンに渡る幅広い技術と、企画から運用に至るシステムライフサイクルでの経験を有するオールラウンドアーキテクトとして、数多くの大規模プロジェクトを技術面で主導。 2019年からアイ・ティ・イノベーションにてコンサルティング活動を開始。 Iasa日本支部代表理事、PMI日本支部会員、IIBA日本支部会員、ITコーディネータ協会会員

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