6月某日、私は日光へ、2日間のゴルフ旅行に出かけた。本年始まって以来の猛暑であった。都会の喧騒を離れ、仕事の区切りをつけるために、私に必要な余暇の時間を、私は大いに楽しんだ。本当の切り替えを行うために、時には体に強めの負荷をかけるのも良い。また、少し遠くの自然の中に身を置けば、こころはリラックスすることができる。
普通のアマチュア・ゴルファーは、1日1ラウンド(18ホール)プレーする。しかし、今回は、1日27ホール(1.5ラウンド)×2日間で54ホールである。
ああ、これは、女子プロの試合の殆どが3日間であるから、プロのホール数と同じである。ただし、私は2日間でまわる。一定の負担を普通のゴルフより多く体にかけ、体をゴルフだけに集中させる。これが、切り替えに有効なのだ。
私は時々、余暇をできるだけ違う業種や違うタイプの仕事をしている人と一緒に過ごす。そして、プライベートや互いの仕事の共通点や違いを共有する。経験を積んだ医師や海運会社の幹部、商社マン、自営で企業を運営している人、伝統企業の何代目かの跡継ぎ、M&Aの専門家、プロの料理人など、業種はさまざまである。仕事は違っていても共通なことは、その道のプロであり、ゴルフが好きであるということである。
仕事のプロは、時間の使い方が上手だ。利害関係の薄い相手と、互いに本当の悩みや生きがいなど、人生観を語り合う。都会で会食をしながらの場も良いが、環境の違うリゾートでリラックスして、ゴルフも存分に楽しみ、夕方から会食と共に延々と語り合う。そして、起きたいときに起きて、寝たい時に寝る。リラックスするためには、国内だと最低2日間、海外だと同一の場所に定住して最低3日間は欲しい。
頭と体を切り替えるのに上記の日数、時間が必要になるのだ。
仕事のこと、家族のこと、生き方などについて、互いのことを正直に話し合う。その道で成功している人とは、環境が変わらないとなかなか本音の話をすることは難しい。
仕事に関する考え方、哲学について、新たな発見をすることもしばしばある。今回は、人に関して真摯さ、正直さを保つという話である。当たり前の話であるが、どの業界でも常にできるとは限らない。その際に、誠実さと正直さ(良心を持って、ありのままに相手に話をすること)の大切さが重要だという話である。
今回のゴルフ旅行の話題は、正直な話の大切さである。
プロは、顧客や仕事のパートナーと上手に話をする。相手に迷いがあり、困っている際に、いかに本心で誠実に会話することが重要であるかを知っている。例えば医師の場合、患者に本当のことを誠心誠意に伝えきることの重要さや、上から目線ではなく、困っていて助けを求めている患者と一緒に、問題解決に向けて双方が同じ目標に向って努力することが、いかに大切かということである。
このことは、有能な医師ほど重要視しているそうだ。それは、真の真摯さと患者との信頼関係がないと難しい病気と闘えないからである。
生きていくにあたり、自分で学ぶのも良いが、いろいろなことを様々な違う経験をした人と教え合うことこそが、人生の肥やしになる。
互いに互いを肥沃にするという言葉、Cross Fertilization(異なった思想や文化の相互交流)という言葉があるが、人には、本来、他の人に良い影響を及ぼす機能がある。
時には、自然の中に身を置いて、語り合おう!新たな発見があるに違いない。