1 はじめに
気がつけば11月。本当に時の流れが早い。この頃になると一体どうして焦ってしまいがちではあるが、こういうときこそ地に足を着けて・・の思いです。
そういえば先日、私が所属するコミュニティである日本ITストラテジスト協会(JISTA)のオープンフォーラムが秋葉原で開催された。今年のテーマは「ビッグデータとITストラテジー」であった。ビッグデータというと何かトレンドに流れている?ような気がしないでもないが、実際の企業がデータ分析をするにあたり、その人材育成をどのように行うのか、という切り口は、大変有益な情報であった。
統計ができる人材など真面目に勉強すると、途中必ず苦しむ(特に、推定、検定のあたり)。その克服法など、実務に即した観点がよかった。
また、このようなフォーラムに行くと、必ず「おー久しぶりですー」のラッシュになる。それもまた良し、有益な情報交換である。(というわけで? 当社も11月19日に東京でフォーラムがありますので是非お願いします)
2 情報システム部門の特徴
さて前回の続きで、、、表題について考えていたのだが、これがなかなか難しい。個人的には、世界のどこかの文献を探せば、IS部門の特徴などを述べたものがあるのかなと思っていたが、甘かった。ほとんどない。
・・・と思っていたが、あるにはあったのである。少し古く1996年の論文で、コンピューター職業の “男らしさ” について考察したものである(*1)。
内容はあまりにコンピューター好きな男性に関する内容で、ちょっとここに記すには勇気がいるのだが、ざっくりいうと
コンピューターワーカー(computer workers)は職業的に男らしさに溢れている。ステレオタイプ化していうと、ITワーカーはアンチソーシャル・ギーク(antisocial geek)である。社交スキルに乏しい若い男子が多く、数学や物理が好き(つまり理系)である。
Wright(1996)
という、、いわゆる昔のヲタクのイメージそのままである。(一応、インタビューや観察を通しての成果なので、これはこれで認めたい。)
1996年当時だと、、確かにそうだったかなと思う。女性にとっては何とも仕事のし難い現場だったかもしれない。ただ今は、2014年!これがあてはまらないほどにITビジネスが発展しているし、女性中心の会社が多いのも事実である。21世紀になって現れるIT企業(主にWebビジネス系)は、女性も男性もバリバリ社交的に仕事している。
しかしながら、IS部門にははるか昔、それこそ1960年代から培ってきている歴史がある。組織のアイデンティティとは、そのような積み重ねによって徐々に形成されるものであり、その結果としての構成員の自己認識(自分”たち”はどのような存在か)である。
極めてシンプルだが、1960~70年代に当時としては先端だったコンピューターを扱う少数精鋭の専門化集団としての気質が原点であり、そして(ステレオタイプではあるが)理系ゆえの”アンチソーシャル”な組織として、形成され認知されてきた・・のが、IS部門というのは言いすぎか?
3 で、何がヘンなの
前章の内容について、かなりお咎めを受けそうだが、あえてタブーに触れるのも大事と思い記述した。ご理解いただきたい。
前回の話題に戻ろう。IS部門にはそのようなアンチソーシャルな特性があるのだと仮定する。それと、「手段の目的化」の考えに陥るのは関係性があるのか?・・とてもまとめられそうになく、ここでの議論は控えたい。
ただ、目的をきちんととらえて適切にコミュニケーションしていくことが重要とは言うまでもない。もし前述したような組織の特殊性が厄介(やっかい)なのであれば、その認識をもって、変化を促すことは必要と思う。
例えば、IS部門のメンバーを意図的に利用部門に「レンタル移籍」するとか、その逆にIS部門に利用部門の担当者を入れる等。または、男女構成比をあえて半々にするとか(喜!)、である(*2)。
もしご自分のIS部門で似たような悩みをお持ちであれば、その特殊性をきちんと認識し、変化を促されたい。組織のアイデンティティは変えることができる。ちょっとしたことが、「化学反応」を起こすことを信じられたい。
注釈:
(*1) 著者は女性の立場で、なぜ女性がコンピューター関係の仕事につき難いのかを考察している。
(*2) 90年代と比べ教育事情が変わり、今の女性は男性以上にたくましいように思われる。まったく問題ないだろう。
最後まで読んでいただきありがとうございました!!!
参考文献
※URLの最終アクセス日は何れも2014年11月12日
[1] Wright, Rosemary. “The occupational masculinity of computing.” RESEARCH ON MEN AND MASCULINITIES SERIES 9 (1996): 77-96.
[2] 組織学会 編、「組織論レビューII」、白桃書房(2013)