冒頭の写真は、名古屋にある熱田神宮の境内で撮影したものです。この神社は三種の神器である鏡・玉・剣のうち、草薙剣がご神体であることから、織田信長などの戦国武将が、戦勝祈願をした場所としても有名です。
『信長堀』なる名前を見ただけで現在でも何故かその当時をしのぶことが出来るのは、信長という一個人の武将が、歴史上有名であることからだと思います。
さて最近お客様と一緒に取り組んでいることの1つとして、長年属人的に培ってきた仕事のやり方をたな卸しし、効率的かつ事故無く業務を回すための改善活動をしています。
この仕事は、ある業務サービスをお客様にご提供するために、業務担当者がITを駆使しながら、その運用を行います。これまでは、ラインごとに責任者を置き、その方が業務担当者が業務ルールを作り上げ、かつ必要なシステムも作り上げてきました。そのためマニュアルや設計書などの資料が無くても、その人さえ居れば、効率的かつ最小限の人数で運用を回すことが出来ます。しかし数十年に渡り担当者を変えずにその業務をまわし続けてきたため、担当者は高齢化。一方でその人の仕事を引き継ぐ人は育っていません。
このままでは、近い将来業務は破綻する危惧もあることから、今回の取組みを行っています。
しかしかつて何度も同様の取組みを行ってきましたが、何度も頓挫しています。理由の1つに、現場の担当者は変わらず、仕事のやり方を伝えるべき次世代の人も居ないことから、改善活動のモチベーションが挙がらないのだと思います。
今回の取組みでは上記反省を踏まえ、次世代の人に業務を引き継ぐという観点を入れた取組みになる方向です。
ただ1つ、大きな問題が立ちはだかっています。
それは、これまでは究極の属人化により、人員は最小人数、業務ルールやシステム構築におけるドキュメント作成は省略してきました。そのため業務を行うためのコストは最小限に抑えることが出来ていました。しかし次世代に引き継ぐためには、一子相伝ではなく、仕事のやり方やあり方を見える化しなければなりません。そのため、これまで投下してきた経営資源(お金)が相当な比率で増大します。
その増大を経営が拒否すれば、次世代には引き継げません。
そのため経営者は、事業の継続と価値について、大局観を持って決断することが求められます。
桶狭間の戦いでは、総勢2万人とされた今川軍に対し、信長軍は数千。兵力においては圧倒的な劣勢であったにも関わらず、軍略により勝利した信長軍。
行動しなければ死ぬ、しかし行動しなくても死ぬかもしれない究極の状況の中で「勝つしかない」という実行すべき目標は明確であったからこそ、勝利を手中に入れることが出来たと考えられます。
経営判断も、その成否は将来の結果でしか評価出来ませんが、行動しなければ何も起こりません。
「信長堀を奉納した時の信長は、どのようなことを思っていたのか?」
信長堀を見つめながら、わが社がお客様と一緒に取り組んでいる仕事のやり方・あり方を、熱田神宮の境内で見つめ直す良い機会を得ることが出来ました。