日本のITサービス業界は、幸せな業界だと考えている。多くのIT組織は、様々な経験をして成長してきた。結果的にITサービス業は、他の業界の組織に比べて、マーケティングとイノベーションの見地で言えば、アンバランスで歪な体質になっている。
IT業界が生まれた今から40年ほど前である。ITサービスの提供者は、需要より常に少なかったため、仕事が溢れていて努力しなくても仕事を確保することは容易であった。そして延々とこの状況が続いた。その結果、マーケティング、営業は、弱体化した。また、努力量も少なく、実力がつかなかった。(当事者は、努力してよくやってきたと認識である。)この事実を本当の意味で認識している人は少ない。また、イノベーションに関する意欲やチャレンジも不足している。業界で主流の技術を取得した者(会社でも個人でも)は、その技術が廃れるまで使い続けることで稼いでいけた。ボリュームゾーンに居れば、安心で居心地がいい。誰かに決められたことを数多く量をこなすことには長けている。こんな人たちには改革やチャレンジ精神は芽生えないし、むしろ、改革の芽を「そんなことは無理!」摘むことが得意になっていく。業界ぐるみでこんなことを無意識にやってしまっていることに悲しささえも感じる。
まとめれば、以下のとおりだ。
・仕事が常にあったため真の営業力・提案力が無い。
・マーケティング力とイノベーション力が、弱体化している。
・顧客が想像しているほどのITデザイン力が無い。人材不足でイノベーションに欠ける。
・法務・制度・ガバナンスも弱く、組織内の管理者の認識に課題がある。
これからのITサービス業界は、真の実力が、問われる時代に入りつつある。といっても化粧品や食品、自動車、家電製品など他の業界並みの競争の時代に入っていくだけである。
いまこそ、この4点について根本的な手を打たなければならない。これからは、真の実力者しか生き残れないだろう。クラウド、セキュリティなどのIT技術については、多くの企業は、手を打ちつつあるだろう。しかし、マーケティングやイノベーションに関する認識は、とても薄いと私は考えている。
競争、選別、提携などの経営手法を駆使し、自社の強みを生かし、自分で意思決定できる能力を備えた力のある企業は少ない。マーケティングとイノベーションの両面で、実際に行動できる実力を備える必要がある。それを実現できた企業のみが、生き残ることができる。
私の関心事は、IT業界のマーケティング力強化である。いくら良い技術を持っていても伝える力が無ければ意味が無い。そして、現状に満足せずイノベーションを業となす組織作りが最も大切である。
これからのITサービス業に必要なことは、この最も大切で当たり前のことを認識し、選択し、考え抜いて実行することだ。そのためには、経営者が、現状の認識を新たにし、人材育成し、環境を整えなければならない。そうしなければ、市場から退出することになるだろう。これは、本当のことだ。
いまいちど、自社の実力をどのように認識しているか考えてみるが良い。
私は、今、正にマーケティング革命に取り組もうとしている。
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