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IS組織を活性化する


水田_20140617竹内のブログ用写真

関東地方では多くの水田で田植えが終わり、豊富な水と太陽の恵みにより、すくすくと成長している様を見ることが出来ます。私はその成長を楽しみにしており、毎週末水田に出かけております。

さて今回のテーマは『IS組織を活性化する』です。

水田に例えると、次のような感じでしょうか!

田:ICTで支えているビジネスもしくは企業
稲:IS部門で働く人々
水・太陽:IS部門の方々が成果を出すためのエネルギーやテクノロジー

その中で水・太陽のように、IS部門の方々が成果を出すためのエネルギーについて、先日某ユーザー系システム子会社における取り組みをご紹介したいと思います。

その企業は、長年親会社が決めた要件に基づき、システムの構築や運用を行ってきました。しかし近年、親会社におけるシステム構築は一段楽したことから開発案件は目減り。子会社は親会社からの収益では自立が難しくなってきたことから、外販ビジネスを大手SIerとも連携しながら拡大に取り組んでいます。

ところが長年『言われたことをきちんとこなす』ことに慣れてきた組織文化は中々変わらず、自ら何を成すべきなのかというビジョン、もっと言うと志を持てず、組織全体に覇気が無い状態が続いているとのことです。

この状況に楔を打つべく、まずは試験的に当社にてセミナーを開催することになりました。

テーマは、『情報システム部門が経営に資するために取り組むべきこと』。

ユーザー企業におけるICTを担う部署は情報システム部門だとすれば、同部門およびシステム子会社、さらにSIerでも、このテーマに合致する取り組みが求められるはずです。そのような前提の基に、約4時間のセミナーを行いました。

さて経営に資するためには、何を取り組んだら良いのでしょうか?

まず大前提は企業経営は売上げを増やし、利益を増やすことです。そこに貢献することが、当然情報システム部門も求められます。つまりはROI(Return On Investment:投資対効果)。

2014.4.7に弊社中山がブログでROIについて書いておりますが、売上高の増大への貢献、コストダウンによる貢献、また一見無縁のCSRへの貢献などがその成果となります。

さらにその実現のために、2014.4.22 EAのメリハリと実装ソリューションでさらに弊社中山がブログで、次のように書いています。

 EA(エンタープライズ・アーキテクチャ)の設計において、対象領域の“メリハリ”(物事の強弱)をつけることは極めて重要である。なぜならEAの領域は、奥行きはBA、DA、AA、TAと深く、広がりは社内の全業務と広範囲だ。全てを同じ“濃さ“で実施しようとすれば、膨大な時間を要するばかりで、それこそROIを得ることが出来ない。

そこでEAの成熟度について、自社の状態を振り返ってみましょう!

Q:あたなの会社はどのレベルにありますか?
(A)成熟状態
・ビジネスとITが密接に融合している
・ITアーキテクチャフレームワークがある
・ITアーキテクチャ維持組織を保有
・ITがビジネスにさらなる価値をもたらす(プロフィットセンター化)
(B)競争力あり
・ITコストはコントロール下にある
・ITがビジネス活動に深く関与
・ITの向かうべき青写真が存在する
・ITガバナンスが効いている
・ITによる業務処理統制が出来ている
(C)悪戦苦闘
・ITコストのコンロールが不能
・IT部門は巨大なコストセンター
・しばしばプロジェクトが炎上
・新規開発への投資比率が低い
(D)創世記
・まだビジネスのIT依存度合いが低い
・IT計画ロードマップがない

少なくとも(B)以上である必要がありますが、そのためには、EAの考え方で、メリハリをつけた人・物・金を最適に配置し、投資することが求められます。

その実現でコアとなる人材は、ICTの都市計画を担うITアーキテクトと、その実現を現場で指揮・監督するプロジェクトマネジャー、そして出来上がったICTをサービスとして提供するITサービスマネジメントを担う方々です。

このセミナーでは、多くの企業がたどって来たICT化の変遷とスパゲティ化・サイロ化したITの現状、それを担うIS部門やSIerの役割の変遷について解説。また今のクラウド時代において、EAでいうTA(テクノロジー・アーキテクチャ)は、物理的な物ではなくサービスとしてお金で買えるようになってきたことなどをご紹介しながら、上記人材がなぜ重要なのか、その結果、本当にかつ現実的に情報システム部門が経営に資するための取り組みが出来るのか?に関する事例解説を通じ、多くの聴講者の方より活発なご意見をいただきました。

当該ブログでは、セミナーの一端しかご紹介出来ず失礼いたしますが、ご聴講いただいた方々にとって、精神論やべき論ではなく、実例を通じ、自らの組織の存在意義や自分自身が何をするべきなのかについて、もやもや感が整理できたとのご評価をいただきました。

最後に、セミナーでご紹介したITアーキテクトの前提となるスキルを紹介します。

・個々の企業のビジネス戦略を理解できる
・経営学の基礎を一通り理解している
・データモデルを始めとする各種モデリングが出来る
・抽象化能力のトレーニングが出来ている
・システム開発における豊富な上流経験が必要である
・最新のITで何が解決できるかを一通り知っている

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竹内博樹
1991年 筑波大学卒業後、三和銀行のシステム子会社である三和システム開発株式会社(現、三菱UFJインフォメーションテクノロジー株式会社)入社。同社にて銀行業務のリテール、法人、国際の各分野において、大規模プロジェクトにおける企画・設計・開発に、主にプロジェクトマネジメントを実行するマネージャとして携わる。また開発後の保守にも従事するなど、幅広い業務でマネージャとして活躍。2004年より当社にて、大規模プロジェクトにおけるPMOの運営およびプロジェクトマネジメント支援や、IT部門の組織改革等、幅広くコンサルティングを手がける。 保有資格:情報処理 プロジェクトマネージャ、PMPほか。PMI会員、PM学会会員。

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