価値観の本質を探ろうとネットサーフィンをしたところ「態度価値」という普段使わない表現に出会った。さらに、態度価値の原点を探してゆくとヴィクトール・フランクルの代表著書である「夜と霧」に辿り着いた。
フランクルは、人間が実現できる価値は、創造価値、体験価値、態度価値の3つに分類されると言っている。
第一の創造価値とは、人間が行動したり何かを作りだすことで実現される価値であり、仕事をしたり、芸術作品を創作したりすることがこれに当たる。創造価値は、企業のビジョン、戦略などと関連して私たちが、組織的な観点で価値を意識した際に使われるものであり、客観的に理解できるものである。
第二の体験価値とは、人間が何かを体験することで実現される価値で、芸術を鑑賞したり、自然の美しさを体験したり、あるいは人を愛したりすることでこの価値は実現される。第二の価値も個人の視点で体感できる価値観である。人が、自然に感じられる価値である。
そして第三の態度価値とは、人間が運命を受け止める態度によって実現される価値であり、たとえ苦痛の中においても運命を受け止める態度を決める自由が人間には残されているということだ。
第二次大戦中、フランクルは、ユダヤ人ゆえにアウシュビッツで自由を奪われ極限の状況にいる人々を冷静に見てきた。最悪の状況にも拘らず人間らしい尊厳のある態度を取り続けた人がいるということを体験した。そこから、フランクルは、誰も奪うことが出来ない、つまり生きる姿勢や態度そのものに究極の価値を見出したのだ。それが態度価値なのである。
私たちは、それぞれが、様々な、悩み、苦しみ、楽しみなどを抱え日々過ごしている。絶好調の人もいるだろうし、不調の人もいるだろう。他人が不調であれば労わりの感情を持って接する人もいる。また、他人が好調な場合、賞賛したり、羨んだりもすることもある。重要なのは、状況ではなくて、それに対する態度、姿勢である。凡そどのような状況であろうとアウシュビッツよりましだろう。そしてアウシュビッツでさえ立派な態度で臨むことができる人がいるのである。そうであれば、我々は我々自身の状況に真摯に向き合っていきたいと思う。
フランクルが残した代表的な言葉に以下のものがある。私たちは、しっかりとこれらの言葉に向き合い、自分自身がどうであるか考えてみよう。
(名言その1)
そもそも、我々が
人生の意味を問うてはいけません。
我々は人生に
問われている立場であり、
我々が人生の答えを
出さなければならないのです。
(名言その2)
どのような状況になろうとも、
人間にはひとつだけ
自由が残されている。
それは、
どう行動するかだ。
参考)
ヴィクトール・エミール・フランクルについて
Viktor Emil Frankl(1905年3月26日-1997年9月2日)は、オーストリア・ウィーン出身の精神科医、心理学者。『夜と霧』の著者として知られる人物であり、同書はフランクルが第二次世界大戦中にユダヤ人である為にナチスによって強制収容所に送られた経験を元に書かれており、世界中で翻訳され、60年以上に亘って読み継がれている。