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断食で生き方と仕事を見直す


私は、昨年から伊豆のある場所で年に一回の断食を行っている。断食と言っても全く食も水も断つわけではなく、食事は、三食ある。但し、ニンジンジュースのみであるが。

今回は、土曜の夜から日曜までの8日間の断食を行った。私は、仕事柄、出張や夜の付き合いが多いし、仕事もそれなりに過密状態である。35年もの間、同様の生活を維持してきたが、今までの生活方法が、本当の意味で、いい知恵を出し、仕事の能率を上げるのによい方法なのだろうか?悩んではいたが、仕方ないことだということで今まで続けてきたのだ。しかし、50代後半になり、このまま、次の10年間同様のことを続ければ、体は持たないだろうと感じていた。そのような時期に、たまたま、ある人から、伊豆に断食に力を入れているサナトリウムがあることを知らされて、行く気になった。その人が言うには、断食は、体と頭を切り替える場になるので、今の林さんにこそ必要なのだと聞かされた。これが、私の断食の始まりである。毎日欠かさず、酒を吞んでいるので、食事抜きは良いが、酒抜きには、自信がなかった。しかし、勇気を出して参加してみると健康上のこと以外にもいろいろなことが分かってきた。皆さんに私の体験を紹介したい。

断食の第一の目的は、健康の維持であるが、それ以外のいろいろなメリットがある。

  • 自分と向き合う
  • 生きているということを感じる
  • 仕事のことを深く考える
  • 何日間か断食に耐えることで、自信としぶとさが身に付く
  • やる気と決断力を充電する

一日の中で、食事や酒に取られている時間は、かなり多い。多分、一人一日当たり2-4時間程度費やしているに違いない。それが、断食中は、一食が、ニンジンジュース500ミリリットル程度を飲むだけなので10分程度になる。朝は、人によるが私の場合は、6時には、目が覚めて起きてしまうので、一日の使える時間がやたらと増えてしまう。今ままで、忙しくしてきたことを必然的に考え直す機会になる。しかも、頭が、普段よりもはっきりしている状態である。伊豆の自然環境も味方して、貴重な自分に与えられた24時間を自分自身で管理しなければならなくなる。運動、温泉、サウナ、読書、仕事、など自由にできる環境が、整っている。一方、ジュースだけで、数日間耐えたあと、通常の食生活に復帰させるために重湯から粥へと徐々に固形物の入った食事に戻していく。ジュースしか口にしていない状況から味噌汁に入っている具や大根おろしなどを食べるとき、素材の味がはっきりと分かる。つまり、食事とは何かということを、食を断つことで、認識し直すことができる。

食と同様に、仕事も環境を変え一旦仕事を断つことで、ゼロベースでいろいろなことを考え、何をすべきか、何の優先順位が高いかを考えられるようになる。断食をまじめに取り組むことでいろいろなことが得られる。レジャーに行くような楽しさとは違う、少し長めの不自由さと苦しさを味わうことになるが、8日間を耐え、やり遂げることで自信が得られる。これこそが、人生の勉強である。

健康なうちに年に一回ぐらい試してみてはいかがでしょうか?一人で行くことをお勧めします。
きっと何かを得られるに違いありません。

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林衛
IT戦略とプロジェクトマネジメントを中核にITビジネスのコンサルティングを行うアイ・ティ・イノベーションのファウンダーであり社長を務める。◆コンサルの実践を積みながら英米のIT企業とかかわる中で先端的な方法論と技術を学び、コンサルティング力に磨きをかけてきた。技術にも人間にも精通するPM界のグランドマスター的存在。◆Modusアカデミー講師。ドラッカー学会会員、名古屋工業大学・東京工業大学などの大学の講師を勤める。

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