PMOの成功事例、失敗事例を挙げてきましたが、そもそも何を持って成功と言い、何を持って失敗というかについてはきちんと触れていませんでした。
これまで挙げた事例については、「元々PMO活動計画にあがっていたことが遂行できた」ことが成功したPMO、「遂行できなかった」ことが失敗したPMOといった風に読み取れたかもしれません。
では本当にそうでしょうか?
「効果は何だ」と問われ・・・
このブログの最初の頃にも書いた通りPMOは以下のような特徴があります。
これと比較しIT系の一般的なプロジェクト(注)の特徴は以下の通りです。
プロジェクトはシステム構築を完成が目標で、品質が基準以上であり、予算内であり、期限内であれば成功です。非常に解りやすいですよね。
ではPMOの成功は何でしょうか?
(注)“IT系で言う一般的なプロジェクト”と限定したのは、PMBOKでは「プロジェクトとは、独自の製品、サービス、所産を想像するために実施される有期性の業務である」(PMBOKガイド第4版)と記載されており、PMOの活動に関してもプロジェクトに当てはまるためです。
以前私が参画していたPMOは、追加開発が多発しているプロジェクトを支援する為のPMOであり、PMO構築の目的としては「度重なる追加開発でも品質の安定したシステムにしたい。自分たちの力で品質を安定させるために開発ベンダへの依存度をさげたい」というものでした。(第6回〜第9回のブログを参照)
目的を達成すべくPMO活動計画を作成し遂行していたのですが、PMO構築から半年ほど経ったとき組織長より「PMOを設置して効果があったかを定量的に示してほしい」との指示がありました。
定量的?これはなかなかの難題です。
PMOの効果を定量化する
効果を考える前にこのPMOの活動を振り返りましょう。(第7回、第9回より)
(1) 充実した要件定義書を作成するために、要件定義の標準を策定し導入する
(2) 初期開発以降放置されていた開発標準を実情に合った形でメンテナンスし使える開発標準にする
(3) プロジェクトマネジメント標準を策定する。特にリスク管理、コミュニケーション管理を重点的に実施する
これら活動は、“度重なる追加開発”に適用する施策であり、“品質の安定したシステム”が目標ですので、効果を測る方法を以下のように考えました。
(前提として1追加開発はサブプロジェクトで実施され、複数のサブプロジェクトが発足、2、3ヶ月毎にリリースするようなプロジェクトです。)
<PMO効果測定の考え方>
サブプロジェクトの品質ではなく、追加開発を繰り返す中で品質の推移(品質が安定・向上しているか)やコストの推移(生産性が向上しているか)を評価する
実際の測定としては開発期間中の品質・コストとサービスイン後の商用品質を見ることにしました。以下は一例です。
<開発期間中の品質>
<サービスイン後の品質>
このように、チームの目的を考えればそのチームの評価方法が見えてきます。よってPMO評価と実際にシステムを構築しているプロジェクト(ここではサブプロジェクト)の評価とは違ってくるのです。
【参考URL】
【第6回】実際の現場を見てみよう (1)
https://www.it-innovation.co.jp/2012/05/01-132145/
【第7回】実際の現場を見てみよう (2)
https://www.it-innovation.co.jp/2012/05/22-133809/
【第8回】実際の現場を見てみよう (3)
https://www.it-innovation.co.jp/2012/06/05-135352/
【第9回】実際の現場を見てみよう (4)
https://www.it-innovation.co.jp/2012/06/19-142112/
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先日、チームメンバーで飲んでいると「ブログに書いていることは現在のプロジェクトのこと??」と聞かれました。確かにどのプロジェクトでも1つや2つは似たようなことがありますからね。確かに今のことを書く方が記憶を辿らなくてよいので楽な面もあるのですが、私の心の中が筒抜けになっちゃうし・・・やっぱりリアルタイムはやめておきます。