今回は私の失敗事例ではなく、私が見た「残念なPMO」です。
初めて接したPMO。そしてその計画は...
私が初めてPMOと接したのは10年以上前のことで、私はプロジェクトのリーダーとして仕事をしていました。所属していた組織ではプロジェクト標準も開発標準もない状態で、設計書はプロジェクト毎に違っていましたし、管理方法も各プロジェクトのマネージャやリーダーの個々の方法や力量によっていました。上長への報告はフリーフォーマット、報告タイミングもまちまちでした。
ちなみに私もまだPMPは取得していなく、PMPの勉強もしていなかったので、先輩の手法を正として仕事をしていました。
このような状況のなか、企画部にPMOが発足し以下のフォーマットが作成されました。
(1) 見積もり試算のためのフォーマット
お客様に見積もりを提示するための試算表。(これは、営業費用、オーバーヘッド費用、必要なプロジェクトリスク費用を算出することが出来るフォーマット。)
(2) 工程完了時の報告フォーマット
前工程の計画工数/実績工数、前工程の計画スケジュール/進捗実績、残課題/解決策と解決期限、リスクが記載できるフォーマット
等々
PMOの要求は難しすぎました;;
しかし、PMOから提示されたフォーマットに記入しようとしてもどのように記入をしてよいか解らないところが多々ありました。
(1) 見積もり試算のためのフォーマット
営業費用、オーバーヘッド費用は組織で試算すれば良いためプロジェクト規模の何%という形で決めることが出来ますが、プロジェクトのリスクを読んで費用にするのは困難です。参画していたプロジェクトでは課題管理は実施しているものの、リスク管理は実施していません。
ましてやプロジェクト発足前のお客様への提案、見積もり段階でリスクを洗い出すことなどしたことがないため、リスク費用と言われても「要件がまだはっきりしていない段階の見積もりだからリスクは高いな」という感覚のみでそれを費用に置き換えることが出来ませんでした。(なので適当にリスク費用を見積もっていました)
(2) 工程完了時の報告フォーマット
計画と実績を各工程で管理するといっても、元々の計画段階でおおざっぱな管理をしていたため、計画と実績を出すことが出来ません。また、パートナーの工数も含めるかも決まっていませんでした。
仮にパートナーの工数を含めることにしても、パートナーの予実管理を詳細に行っている訳ではないため、やはり記載することができません。
今にして思えば、提案段階からリスク管理を行い、そのリスクを費用として見積もることは健全なプロジェクト運営には書かせないことだと解りますし、工程完了時の計画と実績の管理はEVM(アーンド・バリュー・マネジメント=予算・進捗を把握・管理する手法の一つ)を取り入れたかったんだなと理解できます。
ただリスクを見積もるのであれば、リクスを洗い出しプロジェクトだけではなく上長と共有する等、リスク管理を徹底した上でさらにリスクを予算にして合意を得る必要があります。
またEVM等を導入するのであれば、プロジェクト発足段階でベースラインを作らなければ予定と実績の差を出すことは出来ません。
残念ながら現場の実情とPMOの計画がかけ離れていたのです。現場の状況と組織として目指した方向のギャップを把握する必要があったのでしょう。
PMOメンバーの人選も大事です
私としても、PMOに相談しながらリスク管理やベースラインの策定を実施すれば良かったのでしょうが、PMOメンバーにはプロジェクトマネージャやリーダーの経験がない人や、マネージャやリーダーの経験はあっても失敗した人(例えばプロジェクトが火を噴いたため、別のマネージャに交代してプロジェクトから抜けた人)ばかりでしたので「PMOに相談しよう」という気持ちになりませんでした。
プロジェクトから頼られるPMOになるには「目標とすべき人物がいるか」も大事な要素ではないでしょうか。
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オリンピックが終了にあわせるかのように、私が今参画しているプロジェクトももうすぐサービスインを迎えるため忙しい日々から抜け出せそうです...きっと...恐らく...たぶん...