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歴史は、異文化理解の入り口-瀋陽へ


私は、今年、数多く中国出張をしている。今回の出張では、大連から瀋陽へ一泊の列車旅行を行った。ただでさえ12月の大連は、寒いのに、瀋陽は、さらに寒い。12月になると昼間の最高気温は、0度前後で、毎日マイナス10度をゆうに下回る。ましてや、1月、2月は、さらに5、6度以上低くなる。普通の日本人は、経験しない寒さである。

さて、瀋陽は、歴史的にも重要な場所である。中国遼寧省の省都である。「瀋水ノ陽」の意味で、市内の南部を流れる瀋水の北に位置することから由来している。実際、列車で大連から移動すると、市の南部の河を越えて、しばらくすると瀋陽駅に到着する。駅前は、多くのビルがあり大都市の様相であるが、国家歴史文化名城に指定されている都市でもある。今回は、観光案内の車で10分ほど走り故宮に到着した。

私は、天安門で有名な北京の故宮も見学しているので、前の都である瀋陽の故宮は、大変楽しみだった。北京の故宮は、巨大で立派で見栄えがするが、瀋陽のものは、風格があり、歴史を感じさせる。また、よく保全がされている。現在の中国の都は、北京であるが、清の時代、最初の都は、瀋陽にあった。現在の故宮は、17世紀に満州族のヌルハチが・初代皇帝と2代皇帝が、瀋陽故宮を創設した。その後、明が滅びると都を北京に移すが、故宮は、古都として遷都後も維持されている。写真ではなく自分の目で、昔の都を訪れることができたことは幸せだ。

この町は、日清戦争から満洲事変にかけて、旅順、大連と共に、中国と日本の歴史を語るうえで欠かせない場所だ。当時は、奉天と呼ばれている。大連市は、人口約300万人の比較的小さい町であるが、瀋陽は、800万人の大都市であり、省都として発展している。満洲の軍閥である張作霖、張学良の名は知られているが、その活躍する舞台は、ここ瀋陽であった。歴史を知り、その地域を訪ねることで、興味が、さらに湧いてくる。また、その地方の名産を食べることも必要だ。瀋陽で、有名な餃子を昼食に食べた。ガイドさんに店の成り立ちも教わり、何種類の餃子をいただいた。店員の態度は、うなずけないが、味は、最高である。餃子は、東北地方の気候とマッチした料理である。

実際、瀋陽へ足を運んでみると海も近く気候も東北地方としては比較的穏やかな大連とは、街もどっしりとしていて違いを感じる。中国は、各都市に文化があり、違った中国がある。決して中国は、一つではない。いろいろな中国を経験してこそ本当の中国を理解できると思う。

今度は、温かい時期に長春やハルピンに行ってみよう。

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林衛
IT戦略とプロジェクトマネジメントを中核にITビジネスのコンサルティングを行うアイ・ティ・イノベーションのファウンダーであり社長を務める。◆コンサルの実践を積みながら英米のIT企業とかかわる中で先端的な方法論と技術を学び、コンサルティング力に磨きをかけてきた。技術にも人間にも精通するPM界のグランドマスター的存在。◆Modusアカデミー講師。ドラッカー学会会員、名古屋工業大学・東京工業大学などの大学の講師を勤める。

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