「段取り」「確認」ときて、今回はいよいよ最後の「振り返り」です!
プロジェクトの作業がすべて終わった後、結果を整理・評価し、今後の活動に活かしていくのが振り返りの目的です。
「いや、過去は振り向かん!!」という方も、是非一度お試しを。
なにしろ、プロジェクトを実施している時には前に走ることで精一杯。なかなか客観的に自分たちの成果を評価することは難しいものです。一旦立ち止まり、他のメンバー達の意見も聴きながら冷静に結果を分析すれば、自分では気付くことができなかった知見をきっと得ることができるはずです。
まぁ、正直に言うと「長かったプロジェクト、遂に・・・遂に終わったね!」というスッキリ感がぜんぜん違うのです。散らかし放題の机の上の書類、全部引き出しに大切に仕舞ってから次の仕事に取り組む。そんな気持ちになるだけでも、「振り返り」、やる価値ありますよ!
まずは結果の整理から
最初に行うことは、プロジェクトの計画と実績を比較し、その差異を把握することです。
具体的には、「得られた価値」と、「そのために投入したリソース(人・物・金)」の2つの観点から予定に対する実績の変化を明確化します。
・得られた価値-「プロジェクト目標」、「プロダクトスコープ」、「品質目標」の達成度合いなど
・投入したリソース-「プロジェクトスコープ」、「期間」、「作業量とコスト」の差異など
ここで重要なのは、プロジェクトトータルでの比較だけではなく、途中どのように変動してきたのか内訳が分かるようにしておくことです。
例えば、「期間がトータルで2ヶ月オーバーした」という結果について、「設計が4ヶ月遅れとなり、製造段階で2ヶ月取り戻したものの結局間に合わなかった」ということが分かると原因を分析しやすくなりますよね。
しかし、ここで問題が・・・
ここまで黙っていましたが、実は「振り返り」には面倒くさい問題があります。
「いつ振り返るのか?」という問題です。
答えは、「なるべく皆の記憶が鮮明なうち、つまりプロジェクトの作業完了後に速やかに!」なのですが、上記の「得られた価値」を正確に把握しようとすると、これが難しくなるケースが多いのです。
例えば、おでん屋台を製作するプロジェクト。屋台が完成し注文主に引き渡せば完了ですが、使い勝手や品質が本当に良く、注文主が満足したがどうかはしばらく使ってみてもらってからでないと分かりません。
(※毎度おでんの例ですみません・・・しかし、今年もおでんの季節になりましたな。大将!こっちは大根とがんもね。しっかり染みているヤツ。そして熱燗をキュッと一口、くぅ~・・・・・おっとすみません取り乱しました)
このような場合、可能であれば振り返りのタイミングを2回取ることにします。
作業完了直後に一回評価を行い(ここではリソース面での評価を中心に、価値面はその段階で可能な範囲で振り返ります)、しばらく経ってから価値面を中心に再度評価し直すのです。
2回目はちょっと手間かもしれませんが、自分たちの成果の“その後”をしっかり把握しておくことで、重要な教訓が得られる場合は多いのです。
教訓を得る
計画と実績の比較ができたら、プロジェクトメンバーで集まって「振り返り会」を実施します。
全員で結果を確認しながら差異について評価を行い、良かった点・悪かった点を洗い出して整理します。
・良かった点:なぜ差異が生じなかったのか。何が良く、今後どうやって活かすことができるのか
・悪かった点:なぜ差異が生じたのか。何が悪く、今後どうすれば防ぐことができるのか
1つだけ注意を。
悪かった点を洗い出す時、個人に対する攻撃や愚痴の類は禁止です。
「特攻野郎Aチーム」のような選りすぐりの体制であれば良いかも知れませんが、プロジェクトにおいては常に人材やコストに大きな制約が存在するものです(さらにその反面、常に高い目標の達成が求められます)。プロジェクトの成否が個人の能力にのみ依存していては、成熟したプロジェクト活動とは言えません。
「プロジェクトとして、どう工夫すれば良かったのか」
この発想を持てば、教訓を今後のプロジェクトに活かすことができるのです。
組織にフィードバックする
最後に、振り返りの結果をまとめて「プロジェクト完了報告書」を作成します。
そして、今回のプロジェクトに関わっていない周囲のメンバー達にも展開し、得られた教訓を組織全体のものとして共有するのです。
通常は「プロジェクト完了報告会」を開催し発表を行いますが、社運を掛けた重要プロジェクトでもない限りプロジェクトの細かい中身をすると退屈になってしまうので、結果と得られた教訓を中心に30~40分程度を目安に行うと良いでしょう。
いかがでしたでしょうか。
今回で「振り返り」も終わりとなってしまいますが、連載はいましばらく続きます。
それでは次回もお楽しみに!