前回に引き続き、プロジェクトマネジメントに関して良くある誤解です。
早速残りの2つの質問について見ていきましょう。
質問(4) 「今のままでもちゃんと成果は出ているけど?」
現状のやり方でもプロジェクトを完遂し、十分に成果を挙げることができているのだから、わざわざ新しいプロジェクトマネジメントの手法を取り入れる必要性がないのでは、という問いです。
しかし、あなたが所属する組織から見た場合、果たして「あなた自身が出していると思っている成果」が正確に評価されているでしょうか?
これまでの積み重ねによって各現場で確立されてきた方法は、知恵の詰まった貴重なノウハウではあるものの、往々にして仕事を属人的にしてしまいます。その結果、組織のマネジメント層、例えば経営者から見た場合に各プロジェクトの成果を同じ目線で見ることは難しくなってしまいます。
そのため、例えば「目標を曖昧にしておくことで成果を出しやすくする」、「部分的な成果を誇張してアピールする」、「超過勤務などメンバー達に高負荷を強いた経過は隠し、最終的な結果だけ見せる」といった行動が高い評価に繋がってしまうことになります。
このような評価がまかり通る組織では、社員のモチベーションは絶対上がりませんよね。
「同じ基準でプロジェクトの目標、状況、結果が可視化されていなくとも、プロジェクトの成果や人が正確に評価できる」という誤解をなくし、組織的なプロジェクトマネジメントへの取り組みによって「成果を測る尺度」を確立することがやはり必要なのです。
質問(5) 「プロジェクトはリーダーの気合と根性で成功させるものだ!」
まぁこれ、否定はしません。
高い目標を持ったプロジェクトを成功させるためには、強力なリーダーシップと強靭な意思、粘り強さといった要素を持っていることが重要であることは事実です。
しかし、だからといってプロジェクトマネジメントが不要、というのは誤解です。
少人数で進めるプロジェクトであれば気合と根性だけでも乗り越えられるかもしれませんが、ある程度以上の規模になればやはりシステマチックで周到なマネジメントが組み込まれていなければ収拾がつかなくなり、気合と根性が“空回り”することになってしまいます。
リーダーシップとマネジメント、これは例えば将軍と参謀の関係に似ているかもしれません。
いくら将軍が高い目標を打ち立てて兵士たちを鼓舞しても、見通しに基づく綿密な計画や正確な状況把握がなければ大軍を動かすことはできません。そのための参謀の役割がいわばマネジメントであり、リーダーシップと相互に補完し合うことによって困難を乗り越えることができるのです。
「リーダーシップ」と「マネジメント」が両輪となり、これがうまく噛みあってプロジェクトが進む時こそ、チャレンジャブルかつ複雑なプロジェクトを成功させることができるのです。
2回に亘ってプロジェクトマネジメントに関する5つの誤解について考えてきましたが、いかがでしたでしょうか?
次回もご期待下さい!