前回のメルマガでは、IT化の構想・企画段階における“要求の取りまとめ(Why)”、つまり何のためにこの企画を計画し、実施する必要があるのかを明確にすることについてお伝えしました。
この“要求の取りまとめ(Why)”では、
ことを目的としたフェーズでした。またこのフェーズを通じ、IT化の構想・企画段階の最終成果物であるシステム企画書の中で、次の目次に相当する部分の記載が出来ます。
1. 方向性の確認
1.1 背景と目的
1.2 ビジネス上の課題
1.3 対象範囲/前提事項
2. 業務・システムの現状
2.1 現行業務の主な機能と流れ
2.2 現行業務の主なデータ
2.3 現行システムの構成と資産
2.4 現行業務およびシステムの問題点
3. 改善案の検討
3.1 重要成功要因
3.2 要求とソリューション
さて“要求の取りまとめ(Why)”が終わったら、次は“業務・システムの概要定義(What)”を行います。つまり今後の業務の概要、必要となる役割や組織、情報システムの構造、現状からの移行を検討し、その実現性や効果を確認することで“どのような業務・システムを実現するのか?”を明確にします。
その定義を行うためには、下図の“2.業務・システムの概要定義”に書かれたプロセスを実施します。
その内容は次のとおりです。
このフェーズを進めるために大切なこととして、4点挙げられます。
なおこの“業務・システムの概要定義(What)”で作成する、システム企画書の目次例は次のとおりです。
4. 新業務・システムの概要
4.1 主要な業務プロセス
4.2 主要なエンティティ
4.3 システム化の領域
4.4 新業務・システムにおける役割
4.5 サービスレベルの定義
4.6 新システムのアーキテクチャ構成
4.7 業務への影響と対応策
4.8 他システムへの影響と対応策
(追伸)
東証一部上場のユーザ企業の情報システム部門で、人材育成をご担当されている方とお話しをする機会がありました。その方曰く、「弊社はシステム会社ではないため、情報システム部門に配属されるメンバーも数年~十数年、現場の営業等を担当してきた人が突然システム部門に配属されるケースが多い。よって経営から同部が求められている“ITガバナンス”を実践しようとしても、経験やスキルが追いついていない。またそのため、システム子会社から挙がってくる成果物に対する検収も、正しく出来ていないケースの方が多い。」とのことでした。
一方で同システム子会社の方も先だってお話しをする機会がありました。すると「親会社の情報システム部門は、システム開発においては機能していない。よって自分たちが直接ユーザと交渉しながら、システム構築をしている。」とのことでした。
過去企業のIT化を、システム子会社ではなくユーザ企業の情報システム部門の方々が主導してきた時代を担ってきた方々が、現役を引退される近年、今回のようなケースが増えてきたように思えます。
ユーザ企業の情報システム部門が存在する意義は? 企業にとっての価値は?
ユーザ企業の情報システム部門から有識者が居なくなる前に、早急にあり方を真剣に考えなければならない、待った無しの時期が来ている、そんな気がしています。