人は、旅に出ると情緒が鋭くなることがある。
飛行機の中で偶然見た「ハナミズキ」という映画に感動した。
新垣結衣演じる紗枝、と生田斗真(康平)の10年の恋の物語、純愛物語である。互いに北海道の同郷で育ち、恋に落ちた高校生が、自分の人生の目標に向かって成長する。紗枝は、大学進学のために上京し別れ別れになり、康平は、家業の漁師を継ぐことになる。常に紗枝と康平は、自分の置かれた人生の流れの中で、すれ違いながら様々な出来事が起こるが、常に互いを想う強い心があり時が流れて行く。紗枝 は、海外で活躍するという目標に向かって懸命なのであるが、康平を想う気持ちが目標を揺らす。
私の中で何年も忘れていた”こころ”が蘇る。新垣結衣は、本当に純粋でかわいい理想の女性を演じている。私が、10代の頃、こんな娘とつき合いたいと思っていた。私は、大人になって適当に汚れてきて”純愛”など関係無くなっていたが、夜行の飛行機の中だと 映画に集中できるので若い頃の感覚が戻ってくるようだ。この映画は、配役が皆、普通に一生懸命を生きていて、悪い人は一人も出てこない。映画の様々な場面は、ごく普通の人が人生で当たり前に遭遇することが起こる。その時に映画の中に居るもう一人の自分が、揺れ動く。紗枝と康平は、数年後に互いの本当の想いとは違う形で結婚、婚約することになり、その後が心配に思えるが、最後には、ハッピーエンドの結末になる。
紗枝の母親を薬師丸ひろ子が、好演している。あれ! 薬師丸ひろ子といえば、「セーラー服と機関銃」では、かわいい娘さん役だったよね。最近は、やさしいお母さん役が似合ってきた。そうすると新垣結衣は、息子や娘の年代になる。映画では、いつの間にか康平になっていたが、実は、もう一人の自分は、お母さんやお父さん視点で、映画の中に居るかもしれない。自分の子供が、純粋な恋をしてくれるといいなという心もある。この映画では、「ハナミズキ」の木が、家族の幸せを見守っている。紗枝が、小さい頃亡くなったお父さんなのだ。
ANA NH0944 ムンバイ発 成田行き 2011年1月25日 8:36 さあ着陸だ。