BAが主に活躍する超上流工程では、その活動を行なうための体制は、検討を進めるにつれて、必要な要員が増員される、しかも兼務という状況が多いのではないでしょうか?
そのような状況の中でBAが取り組む当初活動としては、そのやり方が正しいか否かは別として、
をしながら、現状整理(As Is)、特に課題整理をしつつ将来像(To Be)を描く。その将来像(To Be)も、ビジネス要求やステークホルダー要求を整理しながら、逐次見直しをかけながら、ステークホルダーの合意形成を取るような進め方をされているのではないでしょうか?
またこのような作業を進めながらITの構想・企画書案を作成しつつ、社内決裁のための根回しを頻繁に繰り返す。かと思えば、新たしい技術をソリューションで採用するべく、デモを見に行ったり、ツールの機能確認をしたり。はたまたITの構想・企画書に対する決裁が下りることを想定し、プロジェクト立上げに向けての要員探しを行なう などなど
BAという職制が定義されていない日本において、BA的な活動が出来る方は、社内でも優秀な方が多いため、BA+PM+ラインマネージャなどの職務を実質的に兼務しながら、超上流工程に取り組まれることが多いように感じます。
このようなことが出来る方は、ステークホルダーからすると「重宝」です。よって目指すべきITの構想・企画に直接関係するか否かに関わらず、様々なことをお願いしたくなります。つまり「何でも屋」に陥りがちになります。
通常仕事は1人で行なうものではなく、複数人が役割分担をしながら、より大きな仕事を、より大きな成果を挙げるべく取り組みます。
「私はBAだからPMの仕事はしない」とか「私はPMだからBAの仕事はしない」という意味ではなく、やらなければならない仕事を期日までに、高い成果を挙げるためには、その仕事の規模や内容に応じた役割分担、体制を始めから敷いておくことが極めて重要です。
「何でも屋」に陥ると、作業がオーバーワークになり、必要な検討が疎かになったり、期待された期限までにITの構想・企画が出来上がらない。もしくは時間が足りないので、決裁が下りるような内容で妥協するなど、良くない状態になる可能性が高まります。
たとえBAが「何でも屋」になったとしても、仕事の成果が挙がるのであれば、それも1つの方法だとは思います。しかしもし期待した成果を挙げられないとしたら、それはITの構想・企画の作業を指示した管理者が、しかるべきマネジメントが出来ていない証拠であると考えます。
「何でも屋」は、何でもやるが、何をやる人なのか?、何を達成目標に仕事をしている人なのか?、傍目からは分かりません。
もしこのような状態に陥った場合は、自分の仕事を「BA系の仕事」、「PM系の仕事」、「ラインマネージャとしての仕事」、「その他単なる課題整理」などのように整理・分類し、その分類に応じた作業計画(含むスケジュールやToDo)を作成し、本人が何をやっているのかを上司もしくはステークホルダーに認識させることが重要です。
ただ本来は職務を明確にし、その職務に忠実に行動することが、価値ある仕事を達成する上では非常に大切です。また明確にすることにより、本人の仕事に対する自覚や責任感を醸成させることも出来ますし、仕事に対する成果も明確になります。かつ明確にすることにより、他人から見て、その人が何をする人なのかが分かります。すると本人は、職務に対する必要なアドバイスや支援を周りから受けることが出来るというメリットも生まれます。
皆さまはどのような状態で超上流工程に取り組まれていますでしょうか?
(追伸)
某外資系企業のIS部門の責任者の方と、超上流に関してお話しをする機会がありました。その内容は「これまでは外部のコンサルタントにITの企画書作成を一任することが多かったが、本来は自分たちがやらなければならないこと。しかし経験が不足している。なので経験不足により企画書の作成が迷走しないよう、サポートしてもらえないか」という内容でした。弊社のビジネスとしては、企画書を作成した方が、多くの工数を要するため売上は上がります。しかし究極的にコンサルタントの使命は、本来は自らの力でやらなければならないことが知識・経験不足であったり、要員が不足しているなどの理由から、やむを得ずコンサルタントを雇うのがベストな形であると私は考えています。その意味で、このようなお客様とまためぐり合えたことは、個人的には大変嬉しく感じられたひと時でした。