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【第13回】段取りの三:作業リストを作る(1)


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スコープ明確化の次にやることは、そのスコープの中で実施すべき“作業”を洗い出してリスト化することです。

先の見通しがない仕事にお金や時間を投じることはできません。そこで、「新たなチャレンジ活動」であるプロジェクトであったとしても、計画段階でスケジュール表を作成したり、必要な作業量を見積もったりして懸命に“モヤモヤ”を取り除いて「プロジェクトの見通し」を立てる訳ですが、それらの“基礎”になるのがこの作業リストなのです。
また、プロジェクトで実際に作業を進める際には、それぞれの作業の進み具合などをこのリストの項目毎に確認することになります。つまり、「作業を管理するための単位」にも利用することになる訳です。

従って、作業リストはプロジェクトの計画や実行時の管理の根幹となるものであり、「プロジェクトの背骨」といえる非常に重要なものなのです。

作業リスト作成における原則

例え計画時に作業を洗いして見通しを立てていても、 後になって作業リストに“漏れ”が見つかるとその見通しが崩れることになってしまいます。
そのような漏れがあった場合には、その作業を追加で行わなければなりません(それを諦めるという手もありますが、プロジェクトの目標に影響を及ぼすような漏れは簡単に諦めることができません)。作業が増えるとなれば、スケジュールを伸ばさないといけないかも知れません。要員や予算を積み増す必要もあるかも知れません。インパクトが小さい漏れであれば良いのですが、致命的な漏れが発見された場合には即座にプロジェクトを窮地に追い込むことになってしまうのです。

「漏れなく作る」、これが作業リストを作るときの一つめの原則です。
ただし、ここで勘違いしてはなりません。

「作業リストを漏れなく作る」=「作業リストを細密に作る」

ということでは必ずしもないのです。
もちろん、プロジェクトの見通しを立てるためには細かく作業リストを洗い出すべきなのですが、あまりにも細か過ぎると今度は別の弊害が起こります。

「○○さん、9時から9時4分の間に屋台の暖簾の“お”の字を書くことになっていますが、できていますか?」
「○○さん、9時4分から9時8分の間に屋台の暖簾の“で”の字を書くことになっていますが、できていますか?」

ちょっと極端な例ですが、これでは確認する方も確認される方もヘトヘトになってしまいます。作業リストは、「暖簾の“お”を書く」「暖簾の“で”を書く」・・・ではなく、「暖簾の文字入れ」が入っていれば良いのです。“おでん”を“夏のおでん”に変えたからと言ってスケジュールにほとんど影響ないでしょうし、それによっていちいち作業リストやスケジュール表を更新する負担もなくなります。

大雑把過ぎず、細か過ぎず。これも作業リスト作成における原則です。

作業リストは階層的に作る

では、実際に作業リストを書いてみましょう。身近な例として、スーパーに買い物に行く際の作業リストを考えてみます。

1. きゅうり1本を買う
2. シャンプーを買う
3. 牛スジ100gを買う

・・・と、思いつくままに書き出してみましたが、これだと洗い出すのが難しいし漏れが起こりそうです。
そこで、作業を段階的に考えて洗い出すことにします。

表1 お買い物における作業リスト
hironaka_chart100706a

※おでん好きの私も栄養バランスに気を使ってサラダも食べているのです。

いかがでしょうか。大きな作業から初めて段階的に詳細化すれば考えやすいですし、漏れも少なくなります。
このように、作業リストは階層的に洗い出して書き出すことが基本となります。

2パターンの作業の洗い出し方

作業リストの洗い出し方として、作業をその手順によって分解して洗い出す方法と、作業によって生み出される成果物を要素に分解しながら洗い出す方法があります。
業務改善の企画を行うプロジェクトを例に、2パターンの方法で作業リストを洗い出して見ます。

表2 作業手順で分解した作業リスト
hironaka_chart100706b

表3 成果物で分解した作業リスト
hironaka_chart100706c

どちらでも作業の洗い出しは一応できるのですが、実はどちらの方法にも弱点があります。作業手順だけで洗い出しを行うと完成する成果物に漏れが起こる可能性がありますし、成果物視点だけで洗い出しを行うと「どうやって成果物を作るのか」が曖昧になってしまうのです。

そこで、作業手順による分解と成果物による分解を組み合わせた“ハイブリッド式”が有効となるのです。

次回は、この“ハイブリッド式”による作業リストの作り方について、詳しく解説したいと思います。
お楽しみに!!

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Profileプロフィール

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弘中 伸典
1994年、徳山工業高等専門学校情報電子工学科を卒業。 SIベンダーに入社後、数々のシステム開発の現場で活躍。そこで得た多くの経験に感謝しつつも、IT業界における構造的問題に一石を投じるべく株式会社アイ・ティ・イノベーションに参画。問題の原因は、プロジェクトマネジメントの欠如にあると考え、日々のコンサルティング業務を通じてその必要性を訴え続ける。 専門領域は、プロジェクトマネジメントおよびシステム開発プロセスの標準化、PMOの設置と運営、IT投資マネジメントなど。 責任と誠意を持って問題解決に取り組む姿勢を大切にしている。 PMP(Project Management Professional)資格 保有

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