ご存知の通り、世界経済は、未曾有の危機にある。
この危機を克服するためには従来型の方法論では、うまくいかないだろう。
この危機に対処するための発想やヒントになるものを考えてみた。
- 頼りになる人ならない人
成長時期よりも下り坂のほうが、役に立つ人かどうか判断し易くなる。
本当に組織のために真剣に貢献しているかどうかがわかるのだ。
成長期に善人ぶって会社のために仕事をした振りをしていた人は、不況期には化けの皮が剥げ、自己中心的な行動をし始める。
善意のある人は、状況に関係なく目標に対して正直に行動できるし、心も安定している。
邪な心は、環境や状況に左右されやすい。頼りにするのは、状況によらず正直で“ぶれない”人である。
- 大改革を進めるには好機
方針が明確であれば、不況の時期こそ改革のチャンスである。
正論に対する反対派の抵抗は、少なくなるし、方針、行動を統一し実行しやすい。
このような時期なので実行できることもある。
好況時には、仕事をこなすことに人を割かれて、なかなか、優秀な人材を改革に回すことができない。
或るメーカでは、優秀な人材をライン業務から外して、将来の改革を担当させ、稼動が低下している時期に、ラインの教育、次世代人材へのシフトを計画しているという。この時期だから実現できる企画だと思う。IT組織もこの際、次世代を担う若手を教育にシフトすべきと思う。
- 改善思考をやめて、ゼロベースの改革思考で行動
余計なものを削減する場合に、全体を分析し何が少なくできるかを検討するのが、一般的だ。
それよりも、もし、無かったら(ゼロならば)どのようなことになるのか、何をその際にすればよいのかを検討する。ゼロから必要なレベルを検討すべきである。
ゼロで考えるということは、本当に必要かどうかを考えるということである。
- 改革目標とプロセスの明確化
改革は、現場の納得と協力なくしては進められない。
秘密主義で検討するのは、不適切である。目標とプロセスを公表し、責任者と関係者も明確にする。
アポロ計画は、当初、無謀に見えたかもしれないが、目標とプロセスを公表している。
情報の公表が、成功率を高める働きをする筈である。
- 夢の共有
改革の先に何があるのかを示すべきである。
実現は、遠いかもしれないが夢の有る未来を共有する。
少なくとも10年間はもつ夢を明確にし、共有する。
社員の元気さは、共有している夢次第である。
- アジャイル、勇気
目標が決まったらすぐやる。すぐ着手し、実行に移さなければ成果は出ない。
行動には、勇気が必要であるが、トップ自らアジャイルで物事を実行することこそが改革のリーダーシップにつながる。
勇気と実行力が、本物の証明である。
リーダーが、崖っぷちに立ち、限られた選択肢の中で勇気を持って決断する。
部下を巻き込みすばやく実行する。組織が危機を乗り切ったときに、強く、俊敏性を持ったチームができあがっている筈だ。
今のような状況は、何十年に一度しかないだろう。我々は、水が無い状態のダムの底を見るチャンスは、めったに無い。ダムの機能に不要な、堆積物が、何かをつきとめる機会でもある。満々と水を湛えた美しいダムも長年の間にいろいろなものがたまっているだろう。本来の機能を取り戻すためには、何が必要かを明らかにする。水が減っても懸命に生きようとする魚たちを再び水に戻さなければならない。但し、堆積物が無く、きれいな水で生きられる魚だけを残すのだ。このようにして、以前よりも優れた美しいダムが復活する。
今こそ、時代を先取りした、明るく元気なIT組織の基礎を創ろう。