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大変な時代の大変な企業運営


今までに経験したことのない時代が、訪れた。
我々が、過去の経験で得たノウハウやセオリーは、通用しない。
ここ2週間の間に十数社の経営者の方々にお会いして、現況と今後の施策についてお話をしているが、先行きの見通しが立たないというのが大方の意見である。20世紀型の経営は終焉し、新しい時代が始まった。
始まりは、突然やってくるものだ。

このような時代に必要な方針、決断、運営について考えてみた。

一般的に企業は、売り上げが20%から30%落ちると確実に赤字になる。
売り上げの急落が、2-3ヶ月の短期間に起きると費用の削減ペースが間に合わなくなる。もし、この状況を放置すれば倒産に追い込まれる。改善する間もなく資金を垂れ流し、大変なことになってしまう。

今回の不況は、今まで以上に企業の短期対応能力と経営者の勇気と決断力を試されていると思う。常識・次元を超えた判断を迫られているようだ。
戦術、人、もの、金、情報の5点からどうすべきか考察してみよう。

  1. 戦術
    判断のスピードが、重要。大胆に戦略を考えアジャイルに実行に移し、その後波状に戦術を実施する。

  2. もっとも大切な経営資源である。今まで以上に質の高い人が、企業成績を左右するようになるだろう。まずは、「要」となる人には、メリハリのある評価をしなければならない。足を引っ張っている人には、この際に去ってもらう必要がある。問題は、普通の人(一番数が多い)をどのように動かすかである。
    一丸となって課題に立ち向かうために必要なのは、明確な方針とメンタル・心を健全に保つことである。経営者自身が正直に行動し、発言することが必要だ。
  3. もの
    大胆に捨てる。徹底的に持たないこと。業種によっては、徹底して持つ戦略もある。

  4. 資産的な見方より、流動性を高め、キャッシュフロー経営に集中する。
  5. 情報
    顧客と調達先の生の情報が、戦術を決定することになる。経営者、幹部のアンテナ機能が、経営力そのものだ。会社の状況を誠実にタイムリーに社員に伝えることがまた、最重要である。要は、ポジティブ情報、ネガティブ情報を正直に共有することに尽きる。

以上が、私が、実戦しつつあることである。この時期の経営に成功すれば、会社の総合的な力がつくだろう。明るく元気な組織を作るための良い機会だと考え、今までやれなかったこと、本当に大切なことをまとめてやりぬくことにしよう。
はっきりとした方針と強い意志を持って明るくやり抜こう。
こんな時ほど、経営者が役に立っているかどうかわかりやすいことはない。
今こそ経営を真剣に楽しもう。

ドラッカーは、やはり偉い。
「何をもって憶えられたいか?」という言葉が、
人にも会社にも鮮明に当てはまるのだ。

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林衛
IT戦略とプロジェクトマネジメントを中核にITビジネスのコンサルティングを行うアイ・ティ・イノベーションのファウンダーであり社長を務める。◆コンサルの実践を積みながら英米のIT企業とかかわる中で先端的な方法論と技術を学び、コンサルティング力に磨きをかけてきた。技術にも人間にも精通するPM界のグランドマスター的存在。◆Modusアカデミー講師。ドラッカー学会会員、名古屋工業大学・東京工業大学などの大学の講師を勤める。

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