暗い記事が多い中、南部陽一郎さん、益川敏英さん、小林誠さんの3名同時の物理学賞の受賞は、素直にうれしく思うのと同時に日本を誇りに思う。
まるで、自分が受賞したかのような感動を私は、感じている。
さらに今年は、引き続き化学賞を下村 脩さんが、取ってしまった。
どの受賞者も長い時間をかけ、あきらめないで努力し科学者の頂点に到達した。どの方もテレビでの受賞時の言葉は、本当に謙虚でまじめさが伝わってくるし、欲に走らず無心に研究を続けてきた結果、大きな成果が得られたのだと思う。
名古屋弁の益川さん、小林さんには、本当に名古屋で育った人が、よくやってくれたと感謝の気持ちでいっぱいになり、親しみを感じる。並外れた才能を持っている方には違いないが、あまりにも身近すぎて「本当か?夢じゃないよな!」とつい考えてしまう。名古屋大学の同窓生、高校の同窓生やその親たちは、私と同様の気持ちになっていると思う。すごいことだ。
世の中を変えてしまうほどの発明や発見は、決して偶然や幸運だけでできるものではないし、並大抵の努力では、到達しえないだろうと思う。今まで遠かったノーベル賞が近くなり、何か関係のある人たちが誇りを感じ、自分の行動と照らし合わせ何かを反省し、まじめに将来に向かって夢を語り、実現する努力を始めるに違いない。それぐらいの影響を与えるだけの大きな出来事だと思う。
私は、名古屋生まれ名古屋育ちで、名古屋市内の公立高校を卒業後、名古屋大学の工学部で物理を学んだ。名古屋出身者が同時に2人もノーベル賞を取ったことで、身震いするほどの驚きと感動、なんとも夢のような気持ちになっている。
2001年に化学賞を受賞した野依良治教授は、1968年から名古屋大学で教鞭をとり、72年に教授になり、その後理学部長になっている。名古屋大学での研究がノーベル賞につながっている。この頃、今回の受賞者の下村さんも名古屋大学で研究をしていた。63年に助教授になり、その後、フルブライト留学生として米国に渡っている。1960年代、1970年代の名古屋では、理科系の学科に夢を求め将来は、学者かエンジニアになりたいという人が多かった。この時期(私が、中学、高校生の頃)に、益川さん、小林さんも物理の新たな分野を懸命に築いたことになる。2008年まで相当長い間の時間を経て最高の栄誉を勝ち取った。私は、物理では落ちこぼれて、ITの道に進んだのであるが、それを教えてくれたという意味でも、物理には、お世話になっている。本当に理解できないものが存在することを教えてくれたことも物理である。ITの世界では、物理同様「正しく考えること」が重要になるし、持久力も必要だ。シンプルで筋の通った考えかたこそ、わからない物理から知ったことである。
中部という土地には、地味でこつこつ努力する風土がある。このような風土が中部の製造業の成長を支えてきたのであるが、ここ20年ほどの間に理系学部は、人気が低迷しまじめに勉強する学生の数も減ってしまった。中部には伝統的に研究や開発を時間をかけてやりぬく文化がある。今回のノーベル賞の受賞をきっかけに理系学部の人気が復活することを私は、望んでいる。
何か私の中にも勇気が湧いてきた。皆さん、将来何か役に立つことに着手しよう。経済は、不透明だけど、感動があると元気になるから不思議だ。
あらためて受賞者の方々に、国民に大きな感動を与えてくれてありがとうと言いたい。