ある調査によって明らかになったのだが、日本のビジネスマンは、他の国の人に比べて次のような行動特性がある。
アイ・ティ・イノベーションが、所有しているスキル診断の数十社のベンチマークデータからも同様な傾向が現れている。たとえば、時間やコスト管理、管理調整力、チームワーク・協調性、支援・貢献行動などの得点が高く、改革改善行動、向上心、リーダーシップなどは、低い。とくに向上心は、よほどのことがないと向上しない。
向上心は、言い換えれば目標に対して強い動機付けが働いてこそ変化する。小さな成功を積み重ね、それが、自信につながり、やがては、誇りが持てるようになる。
どんなひとでも、辛抱強く目標に向かって行動すれば、変化するものだ。
私は、これらの「変化を嫌い、安定を好み、真面目」といった傾向を、まずは認識すべきと考える。特に、トップマネジメントや上級管理者は、自分の部下がどのような考え方を好み、何を望んでいるかを理解し、認識しなければ、これからの変化を生み出し、推進しなければならない時代には、対処できないだろう。私たちの根底にある変化を嫌う傾向は、社会的、文化的な背景から合理性があって定着したものだ。季節の変化に応じて働くリズムは、農耕民族だった私たちの中に、長い時間をかけて文化的に定着してきたし、50年前までは、機能していた。さらに高い品質の複数の製品を大量生産するため、少し変化をしながら真面目文化を機能させてきた。しかし、これからの多様で、複雑で、多くの選択が必要とするプロジェクト価値創造型の社会には、相当の変革が必要になる。
将来、日本が生き残るため、農耕的な文化で通用するところは継続し、必要な領域についてリスクを取り、変化を先取りして改革を実現しなければならない。日本の社会の上に、様々な企業が運営されているが、企業によっても文化がかなり異なる。変化に比較的対応できる企業文化とそうではない文化があることも事実だ。
これらを考慮し、日本の文化に適合した改革手段を生み出さなければならない。
そのために、まずは、事実を自分の目で確かめ、きちんと認識することが重要である。
『変化できなければ滅びるしかない』
このことは、組織だけに当てはまるものではない、個人についても当然あてはまるのだ。