私は、今、「情のプロジェクト力学」という本を執筆している。
春には、書店に並ぶ予定である。
奇妙なタイトルの本だ。情動の「情」と工学的な意味での「力学」を組み合わせたのだ。工学的な視点でプロジェクトを捉えることは、複雑で、難易度が高くなったITプロジェクトを成功させるためには、必要なことであるが、これだけでは十分ではない。工学的に正しい方法論を採用したとしてもプロジェクトを動かす原動力は、人間なのだ。複数の人間力が、相乗的に働いてこそ成果につながるというものだ。人間の原動力とは何か? 論理か感情か。
正しいと理解すれば原動力になるのか。好き嫌いの好きが、原動力になるのか。
考えてみると良い。人間が、正しければ動くとは限らないことは、歴史が証明しているではないか! 何かを始めるとき、好き、やってみたい、成功したいという確信があって初めて力を発揮できると考えている。動機とは、「情」を伴うものである。
困難なビジョンを実現してやろうという情のある人々が、リーダーを中心にチームと
なり、工学的に正しく仕組まれた複雑なタスクを実行してこそ、プロジェクトが、成功する。
複数回、プロジェクトを成功させた組織には、哲学が、生まれる。成功哲学が、組織に根付くと同時に、そこに所属する人々には、自信と誇りが生まれる。その哲学は、高いビジョンで絶え間なく変革する精神を実現し持続する方法論として、組織の風土に適合した形で構築される。
私は、ここでいう「情」と「力学」が、欠乏しているために停滞している多くの組織を見てきた。プロジェクト活動を通して、「情」と「力学」を一体化し鍛え上げるのだ。リーダーは、トップマネジメントである。私は、この部分に貢献したいと思っている。
「力学」を通して「情」のレベルアップに着手しよう。具体的な活動を伴ってこそレベルアップが可能になる。