日本の道徳教育の枠組みによると道徳は、以下の4つに分類されている。
・自分自身に関すること
・他人とのかかわり
が基本になり、自然や集団・社会へと深化、具体化していく。
・自然や崇高なものとのかかわり
・集団や社会とのかかわり
4分類それぞれを小学校の低学年から中学までの体や心の発展段階に応じて少しずつわかりやすい例を挙げて教えていくことになっている。
たとえば、「自分自身に関すること」についていえば、低学年では、健康・安全、物や金銭を大切にすること、整理整頓、善悪の判断、正直さを学ぶ。中学年では、自律、節度ある生活、謝罪と改心、不撓不屈、勇気、正直、明朗など。高学年になると節制、目標設定、自由、誠実、真理追求、創意工夫、自己評価を学ぶ。さらに、中学生では、大人の仲間入りするための内容になってくる。望ましい生活習慣、健康、節制、調和のある生活、希望と勇気、自主性、責任、理想実現、自己の向上、個性の伸長とある。
基本的でわかりやすい項目からスパイラルに複雑で高度な概念を事例を交えて教えていく。先生が持っている「道徳」が、そのまま、生徒に伝わってゆく。親が、子供に伝える場合も同様である。
「他の人とのかかわり」に関することについては、あいさつ、言葉遣い、動作、幼児・高齢者への親切心、友情、感謝。中学年では、礼儀、思いやり、理解・信頼・助け合い、尊敬と感謝、高学年では、TPOの区別、男女協力、謙虚な心、感謝と報恩、中学生では、礼儀、人間愛、友情の尊、異性の理解、人格尊重、他に学ぶである。
また、「自然や崇高なものとのかかわり」に関しては、動植物愛護、生命尊重、敬虔な心からはじまり、自然への感動、崇高なものへの感動、自然環境保全、自他の生命の尊重、自然環境保全、自他の生命の尊重、感動する心へと発展してゆく。これらの項目は、「本物」を見たり、実際に自然がある場所へ行って体験してこそ身に付く。
親と先生の「心のこもった行動」が、必要になる。
「集団や社会とのかかわり」に関しては、低学年から遵法、公共物の保全、父母への尊敬・家族愛。愛校心、郷土愛、公徳心、勤労、愛国心、国際理解、集団活動、義務の遂行、公正・公平、社会奉仕、国際親善、集団生活の向上、法の遵守、社会連帯、差別偏見の撤廃、公共の福祉と社会の発展、国際貢献とある。これらも、機会をつくり行動を伴わなければわからない項目ばかりである。
このように、教育すべき徳目は多岐にわたる。私は、日本の道徳教育の枠組みを、素晴らしいと思う。実に、情動に富み、深い内容になっているではないか。
一方、社会では、ここ数年、考えられないような「道徳心」を欠いた事件が多発しているし、大人が働く会社、組織でも「道徳心」を欠いた大人が目立つようになってきている。家族や仲間を殺してしまうような事件、企業や国のエゴから起こった環境問題やエネルギー問題、金融問題など、どれも間違いなく「道徳」に関連している。
社会が複雑、多様になり、目標やビジョンが創りにくいことは確かであるが、大人自身が、低学年の道徳の授業で学んでいることすら実践できないでいるのはなぜだろうか?
親の子供に対する教育や学校教育のあり方に問題があることは確かであるが、大人が低学年で学ぶ「道徳の基本項目」を身に着けていないことが大問題である。子供は社会の鏡になり、悪い大人と同じ行動をするようになる。
会社でも道徳の授業をしなければならない時代が来た。情けないが、事実である。
今一度、「道徳」の項目を点検し大人から改善を試みようではないか!!!
素晴らしい未来は、苦労はするがきっとやってくるはずだ。