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加藤光峰先生との出会い 亀甲文字の世界


亀甲会の主催者である書家の加藤光峰先生とは、私が常連客となっている家庭料理の店「あられ」で、よくお会いする。好きな酒を酌み交わしながら芸術の話しを気楽にできるのも、店のお客には地位や役職などでの上下関係が無く、誰とでも話しをできるようにコーディネーションをしているママのおかげである。この店には、医師、芸術家、デザイナー、サラリーマン、教師、経営者など様々な職業の常連さんがいる。利害関係が無く、相手の話が聞けるのが気分転換にもなり、ありがたい。

加藤先生は、近くにアトリエをお持ちで忙しくなるとアトリエにこもって仕事をこなしているようだ。先生は、温厚で教養溢れる人柄で、決して偉ぶったりしないが、ご自分の意見もはっきりと述べられる。いわゆる良くできた人であり、人気もある。
  
昨年は、キリンビールのコマーシャルにも男優として出演しているし、今年は、ニューヨークのホーブス誌のミュージアムで個展を開く。70歳を越えているにもかかわらずエネルギッシュで、日本の書家としては珍しく海外で活躍している人である。先生は、書に興味を持っている人であれば、誰にでも親切に書の意味や良さを分かりやすく説明してくれる。先生の主催している亀甲会は、中国の亀の甲羅や骨に刻んだ漢字のルーツである古代文字を基礎として様々なテーマで作品を創造する。ただ、書を上手に書いたり、写したりするのではなく、作者の力で、作者自身の考えや感じていることを抽象的な書として表す。先生の世界は、慣習や制度にとらわれず自由で、やわらかい発想で書に取り組まれているのが特徴であり、尊敬できる。一般的な行書、草書、隷書などの世界とは違い、表現は、自由であり、またリアルでもある。先生の話によると墨の線の中にその人の人格や心の様相が現れるという。達人になれば素人には見えないものが見えてくるのだと思う。

私は、2年前に亀甲会の展示会を上野の森美術館に妻と一緒に見に行った。数十センチ四方の作品から数メートルの大作が数十点並んでいる。古代文字の形を借りて現代の人の感覚を作品として表す。私が驚いたことは、森には、本物の木が見えるし、水もあり流れもある。鹿などの動物も登場する。しかし、見方を変えればそれらは、文字でもある。展示会で妻が、感じたままにあまりにも難しい質問を数多く先生にしたのであるが、それを、先生は嫌がらないで、本当に親切にまじめに答えてくれたことに感謝している。先生曰く、書の世界は、音楽などと違っていつまでも形が残っていくものだ。そのときの感覚が、後世まで残っていくものだ。それゆえに、作者は、納得のいくまで作品を何度も描き、最良の作品を展示する。一見、意味が分からない線や空間にも魂を吹き込む。

達人になれば、作品を見るだけで背後にある様々なものが見えるのだ。作者の心の様子や性格、邪魔なものがあれば、それも作品に現れるようである。何十年も芸術に関わり、様々な困難を乗り越えてきた達人は、どの世界の人でも哲学があり心は豊かである。

芸術でもビジネスでも精魂込めて作品を制作する。対象が何であれ原理は同じだと私は、思っている。

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林衛
IT戦略とプロジェクトマネジメントを中核にITビジネスのコンサルティングを行うアイ・ティ・イノベーションのファウンダーであり社長を務める。◆コンサルの実践を積みながら英米のIT企業とかかわる中で先端的な方法論と技術を学び、コンサルティング力に磨きをかけてきた。技術にも人間にも精通するPM界のグランドマスター的存在。◆Modusアカデミー講師。ドラッカー学会会員、名古屋工業大学・東京工業大学などの大学の講師を勤める。

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