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ITアーキテクトへの道 その5


「ITアーキテクトの道」のまとめとして、役割モデルを提案しよう。

私は、ITプロジェクトを成功に導くための条件として3つのプロフェッショナルが、バランスよく活躍することが、必要であると考えている。

1.ITアーキテクト
2.アナリスト
3.プロジェクトマネジャ

ITアーキテクトの位置づけ

ITアーキテクトは、文字通りアーキテクチャのプロフェッショナルである。
ITアーキテクトの仕事は、システム企画の段階から始まり、ユーザーの求めている要件を実現するためのシステム設計そのもの(いわゆるデザイン)と最適な開発方法論の設計(工法)に責任を持つ人である。ユーザー要件を明確にし、目標とする品質を満たすようなシステムをデザインする。システムアーキテクチャのみならず、アプリケーションアーキテクチャやシステムのインテグレーションの方法も設計する。企画の段階では、全ての要件が決まっているわけではなく、顧客からアーキテクチャを決定するのに必要な情報を引き出すことが、重要だ。つまり訊く能力と想像力が、必要だ。また、新しいアーキテクチャに挑戦する場合もあるだろう。その際には、技術の将来や実現性を見通し、決断する勇気も必要になってくる。大規模システムでは、ITアーキテクトの役割は、チーム化される。アーキテクトチームのリーダーとして、個性的なスペシャリスト達を取り纏める人間力も持ち合わせていなければならない。建築、土木、造船、製造業の製品開発など、さまざまな、複雑系製品の成功物語には、必ずビジョンと価値の実現に体を張ったアーキテクトの存在がある。付加価値の高い製品の設計は、一筋縄ではいかない。今までに存在していない価値を創造するために勇気、熱意、強靭性が、必要だ。そして、苦労して出来上がった製品には、合理性があり、誰にでも分かる美しさがある。美しいシステムを具現化するのがアーキテクトの役割である。

ITアーキテクトの能力と行動様式

次のアナリストは、業務のプロフェッショナルである。ユーザー側から業務の専門家を配置することが多い。今後のビジネス、業務のあり方に対するビジョンを持ち、改革精神の溢れた人が適任者である。また、人事や会計といったどの組織にも存在する領域のプロフェッショナルも存在する。いずれにしても業務の本質を理解し、新たなビジョンをアーキテクチャのプロであるアーキテクトと共に具現化する役割である。新たな業務モデルやアプリケーションのアーキテクチャは、アナリストとアーキテクトの協力無しではありえない。業務の本質が、アナリストのキーワードである。

最後に、プロジェクトマネジャは、アナリストやITアーキテクトが、描いた新しい業務モデル、システムアーキテクチャ、工法(開発方法論)に基づいて決定されたビジョン(業務要求、品質目標)を実現できるようリソースを見積もり工数、予算を算出し、実現可能な計画を立案する。プロジェクトマネジャは、この計画に基づきプロジェクトを推進しビジョンの実現に責任を持つ。目標とする業務モデル、実現可能なアーキテクチャが、定義されたとしても実際に要員や設備などを調達して実現するプロジェクトマネジャが、居なければシステムを生み出すことはできない。様々な関係者と合意形成を行い、プロジェクトをゴールまで導く、真の人間力、知的な体力、肉体的な体力、瞬発力と持久力を併せ持った人が、プロジェクトマネジャである。
プロジェクトは、山あり谷ありだ。時には、部下に理不尽な要求を下さなければならないことがあるだろう。プロマネのキーワードを一言でいえば、人間力である。

ITアーキテクト、アナリスト、プロジェクトマネジャは、誰が偉いというものではない。3つのプロ中のプロの頂があり、様々な経験を積み頂点に立つ。ITの仕事について15年から20年経って、はじめて、ITの仕事について良かった。「自分をほめてあげたい」と言えるような人生が理想だ。
ITを職業としている人が、「誇りある人生を送れるように」

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林衛
IT戦略とプロジェクトマネジメントを中核にITビジネスのコンサルティングを行うアイ・ティ・イノベーションのファウンダーであり社長を務める。◆コンサルの実践を積みながら英米のIT企業とかかわる中で先端的な方法論と技術を学び、コンサルティング力に磨きをかけてきた。技術にも人間にも精通するPM界のグランドマスター的存在。◆Modusアカデミー講師。ドラッカー学会会員、名古屋工業大学・東京工業大学などの大学の講師を勤める。

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