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インド出張報告 デカン高原の学術都市プネに学ぶ


今回は、ITアーキテクトへの道を一回お休みし、インドの報告をすることにする。

昨年の夏から始めたインド視察ツアーは、この7月で4回目になった。
今回もインドで真剣にビジネス基盤を検討しているお客様と一緒にムンバイとプネを訪問した。最近、インドの経済的な発展が、注目されていることは事実であるし、多くの外国人が活発にインドを訪問し様々なビジネスが、開始されつつある。

私は、ビジネスよりもむしろインドの文化や国民性、インドの人々の生活感に関心がある。インドの文化や社会と国民性の理解無しには、ビジネスは成功しないだろう。数回インドを訪問して私自身が感じていることを纏めてみよう。私は、最終的には、インドとのビジネスを何らかの形で成功させることを目標にしているが、ビジネスの現状を掴む前に自分の感覚で、感じるままにインドを捕らえ、インドを理解することがスタートラインになると考えている。インドの町もインドの人々も見た目は、日本とかなり違うが、本質的なことを自分なりに理解してくるといっそうインドにたいする興味が沸き、好きになってくる。

テーマ インド 日本
社会 人々の目が輝いていて、活気がある 成熟社会で中程度の活気
仲間 人間関係を重視する風土
(温かさを感じる)
仲間重視と個人主義のハイブリッド型
シャイでおとなしい おとなしく、意見をはっきり言えない
満たされていないので単純な目標が作りやすい 豊かで、複雑な価値観、目標を作りにくい
食材は野菜中心でかなり豊か
(ベジタリアンが、70%)
インドより多様で豊か
貧富の差が激しく一般的には満たされていない 狭いが清潔で、よく整理されている
衛生状況 ホテル以外は、悪い 非常に衛生的
インフラ 道路、電気など日本の昭和30年代 日本は信頼性の高いインフラが完備
教育 教育制度水準は、かなり高い
競争が非常に激しい
高いがシステムとして問題あり入試のみ競争がある
お金 欧米、中国などと違い目的のひとつ お金に関する考えには似た面がある

インドの実情を総じて言えば、社会インフラは、日本の昭和30年代であり、ITの水準は、世界レベルで見ても高水準にあるかなりアンバランスな社会である。相当の秀才がITビジネスを目指している。
各地に建築されている巨大なITパークにある企業を訪問すると、企業のビルの中は、アメリカに居るのか東京のビルの中に居るか、分からないほど快適である。ところが、一歩、町へ出るとスラムやかなりごちゃごちゃした町に人が溢れているのが見られる。今は、このような姿であるが、これから数年で、急速に近代化するだろう。近代化して人々が豊かになる過程で、様々な変化が起こるだろう。

私は、今のインドの人々が好きだ。なぜならば、日本も嘗てはそうであったように、家族を大事にし、努力して夢を目指した。日本人とインド人は、本質的な面で自然観、家族との関係、友達関係、社会と個人の関係などかなり似ていると私は考えている。多分、日本の時代で言えば、1964年の東京オリンピックの頃だろう。
私は、急速に豊かになる過程で、インドの文化的な良さが失われることを危惧している。何とか一緒にビジネスをすることで、良さを維持したまま発展できるような手伝いができればと考えている。

さて、プネに話を進めよう。プネは、ムンバイから200キロほど離れた標高600メートルほどの緑の多い町で、学園都市であるプネ大学を中心に政府などの研究機関、大学が200組織ほどありIT企業も大手がかなりの数進出している。現在プネに住んでいる日本人は、40人弱しか居ない。また、プネの人々は、日本人が好きだ。日本のレストランもまだ無いが、ここ2,3年のうちに空港は、インターナショナルになり、インドで最大級のコンベンションセンターやホテルが多く建設されることになっている。

私は、この場所に日本のIT技術者に滞在してもらい、インドの会社と組みソフトウェアエンジニアリング教育を現在実施している。何かのテーマを通じて、文化的な交流に発展し、互いに、互いの文化を高めることにつながっていけば理想的だ。国際的なビジネスで成功するということは、言い換えれば文化的なプラスの融合を意味していると私は考えている。何かを破壊してビジネスを成功させてもそれは、一時的なもので、意味は無いと思う。

次は、9月にプネに行く。

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林衛
IT戦略とプロジェクトマネジメントを中核にITビジネスのコンサルティングを行うアイ・ティ・イノベーションのファウンダーであり社長を務める。◆コンサルの実践を積みながら英米のIT企業とかかわる中で先端的な方法論と技術を学び、コンサルティング力に磨きをかけてきた。技術にも人間にも精通するPM界のグランドマスター的存在。◆Modusアカデミー講師。ドラッカー学会会員、名古屋工業大学・東京工業大学などの大学の講師を勤める。

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