夏休みを返上してインドのムンバイとプネへ出かけた。
東京の暑さとインドの暑さは変わらない。数週間前の大洪水のあとが残るムンバイは、空港を出たところからいたるところに泥や大雨の後が残る。
1日ムンバイで過ごし、翌日、車で市内での観光のあと170キロ先のプネに向かった。到着は16:00頃だ。大都市で歴史やビジネスあらゆるものが存在するムンバイに比べて、プネはインド人の憧れの町であることも感じさせる、町全体が落ち着いていて緑の大変多い学園都市である。
日本で言えば、東京がムンバイだとすると、プネは、筑波学園都市を人口300万人に拡張し、軽井沢(プネは、デカン高原の標高600メートルに位置)へ造った感じだ。
8月はモンスーンの時期で、毎日雨が降ってなお且つ蒸し暑いのであるが、プネでは、エアコン無しで過ごせる。今回は、大雨で道が直せない程デコボコになって、市内のアクセスが時間がかかること以外は、予想していたインドとは違い、暮らしやすそうな雰囲気がする。
今回のインド訪問の目的は、インドの進んだ教育プログラムを利用して日本人のエンジニアを育成するビジネスを確立するためである。将来的には、アジア圏で、相互に供給しあえるITサービス体制をインドと日本が協力して進めることを目指したいと願っている。インドの国営の教育機関であるCDACを訪問し講師陣と会い、トレーニング風景、学食、自習室、コンピュータ室などを見学した。
講師陣の質もさることながら、カリキュラムや運営も優れた方法で実施している。加えて、プネ大学、寄宿舎なども訪問することができた。
3日間に渡り、ビジネス上の打ち合わせが中心ではあったが、インドの人達の思考、人生観、活気、思想、哲学のようなものを学ぶことができたと思う。
インドの社会は、外見からだけ判断すると日本とはあまりにも異なる点が多いので、日本人の多くは、この段階で先へ進めようとしない。こちらも先入観があるし、追求しようとしないために、相互に深い理解が無いまま、消極的な判断をしてしまうだろう。
・宗教
・食事
・見た目の生活(建物、乗り物、衣類、制度 など)
・公衆衛生 など
しかし、実際に何日間かインドの人と一緒に過ごしてみると、精神的なものや道徳的なものは、日本が嘗て持っていて今失ってしまったような部分をしっかり基礎として持っている。
・純粋で前向きな心と優れた国へのあこがれ
・他の国の文化を努力して理解し従おうとする姿勢
・親や兄弟・親戚を大切にする気持ち
インドの人々は、物に対する欲よりも精神的な満足を重視する傾向にあると思う。日本には仏教的な思想が存在するが、ルーツは、まさにインド思想や宗教から来ている筈だ。
日本でのビジネスに積極的な国は他にもあるが、目的が物、金ではなく、やってみたい、知りたい、成功したいという純粋なところから来ているのが違う。わたし達が失いつつある精神、道徳、親を敬う心、友達や他人を大切に思う心、夢に挑戦する心など・・・
今の時点では豊かとはいえないインドの人たちが、戦前に日本に根付いていた精神文化を持っているではないか!!!
このことを確信できたのは、最大の収穫であった。インドとのビジネスを進める強い動機と基礎ができた。
帰国する日に、プネで日本語の猛特訓をうけているインド人の若者と話をする機会があった。目が輝いて希望に満ちている。近い将来彼らは、日本で働くことになる。現地のスタッフ、インドの若者の歓送を受け帰国の途についた。
両国の人が努力し合い、文化の面、ビジネスの面で互いに互いを肥沃にする輝かしい未来があるに違いない。