モチベーション(動機付け)は、やる気や意欲を起させる事である。プロジェクトマネジャは常にメンバーを動機付けすることで、プロジェクトが高い成果を得られるように仕向けることを求められている。
モチベーション理論の多くは産業心理学で古くから研究されてきた。有名なものにはマズローの欲求段階説を援用する理論がある。マズローの欲求段階説は、人の欲求には5段階のレベルがあるとする。第1段階は生理的欲求(食欲など)、第2段階は安全欲求(安心して生活したいなど)、第3段階は帰属欲求(家族や集団に所属していたいなど)、第4段階は尊重(自我)欲求(仲間や社会から認められ、尊重、尊敬されたいなど)、第5段階は自己実現欲求(自分らしい生き方をしたいなど)というように言われる。これらの欲求は第1段階から順にそれぞれが満たされると、次の欲求が人の中に出現すると考えられている。この説を援用した動機付けの考えでは、これらの欲求にあった目標を適時メンバーに提示することが重要になると考えられており、特に尊重欲求や自己実現欲求を重視して説かれることが多い。
しかしながら人のモチベーションは、これ以外にも様々な要因によって促進される。例えば公平性(公平に扱われること)や人からの期待など、個人の価値観の尊重や気持の動きによっても大きく影響を受ける。そんな事もあって最近では人の成長欲求に着目した考えや、個人の社会的価値の向上に着目した考えなどが注目されている。前者は、より困難な目標にチャレンジさせてやる気を起させるという方法が、特に成長欲求が高い人には有効であるとする。また後者は、人は自分の社会的価値を向上させる仕事を与えられる事によって動機付けされるなどとする。これらの考えは成果主義評価や、人材の流動化という今日的就労状況を背景に説得力を持ちつつある。
いずれにしても、今日の組織においてモチベーションを向上させるには、リーダーはメンバー個々人の価値観や欲求に合ったやり方を、個々に提示することがより求められてきていると言えよう。そのためには形式的なコミュニケーションだけではなく、相互の気持が通じるようなコミュニケーションが必要であることは言うまでも無い。