最近ある会社で主催したプロジェクトマネジメントのトレーニングコースで、プロジェクトを成功させるための重点事項を受講者に、チームで話し合ってもらって発表を聞く機会があった。
その中であるチームは、プロジェクト成功には、「気持ち」が非常に大切であると強調した。
他のチームは、目的の明確化、体制、計画レビュ、リスク管理などを挙げた。これらの項目ももちろん大切であるが、「そもそも困難なことに立ち向かおうという気持ち」が無ければ何も始められないだろう。
始めたとしても推進しつづけることは難しいだろう。何をする上でも正面から正直に取り組む前向きな気持ちが重要な役割を果たす。
なぜ「気持ち」が大切であるか理由を尋ねたところ何を行なうにも前向きな気持ちを持つことが基本でありこれを抜きにして成功などありえないとのことだ。だから基本として何かを行なう際には、第一番に気持ちを大切にする。
他のことが多少おろそかであっても「気持ち」さえ持続できれば最後には、何かを得られるはずだということだ。
「気持ち」という項目をチームで話し合って生み出したことには大変感動させられた。
全くそのとおりだと思う。
プロジェクト、会社の組織、家族、スポーツなんでも、人も気持ちが崩れ去り、持続できないことが分ったとき、張り詰めていたものが崩れていく。急に力がなくなっていくことが分る。
人が集まって何かをする場合は、全てあてはまるが、多くの人はこのことをあまり意識していない。
参加者の思いがなくなったときに取り返しのきかない結果になる。これは、私たちが、何らかの形で経験していることである。
私は、しばしばトラブルプロジェクトの支援を引き受けることがあるのだが、トラブルプロジェクトで大切なことは、この「気持ち」の部分をどのように回復させるかが最初の課題になり、しばしば最後まで尾を引く。トラブルプロジェクトのメンバーの間には、正常な信頼関係は無くなっているし、少々のことでは人の信頼は回復はしない。なぜならば、何度も信頼の裏切りが、行なわれた結果である。人を信頼しないリーダーが、何かのきっかけで「気持ち」を切り替えられるかどうかが鍵となる。一歩一歩、正しく仕事を積み重ね、少しづつしか改善しない。魔法は、存在しないが、「改善する気持ち」があれば最後には、決着する日が訪れる。
人間の信頼が正常になれば、プロジェクトを元に戻すことは可能だ。この時、取り戻せないものは、既に消化された時間や金であることは、承知しなければならない。現在から未来に向かって正しくすることしか出来ない。
恐れや落胆の「気持ち」が、過去に遡及して、正常化を求めるためになかなか前に向かないで停滞する人が多いのである。
うまく行っているプロジェクトは、「前向きな気持ち」がメンバー間をリレーするし、各メンバーが明るい。
気持ちの「気」は、エネルギーを意味するそうだ。エネルギーが、足りなければ、推進がうまく行かないのは、自明だ。
「気」はチーム(人と人)を支えるエネルギーだと理解できる。
健全な、チーム運営には、「気持ち」が、大切であるとあらためて認識した。