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リーダーの本質 ~ブライアン・マーティン 林 衛 コラボレーション・コラム~ 第6回「リスクとリターンの関係」



ブライアン・マーティン

ブライアン・マーティン


ブライアン・マーティン
IAS 会長 兼 最高経営責任者

米国の多国籍企業リーバイ・ストラウス社の日本支社長を経て、アジア地域総責任者に。その後ドイツの多国籍企業、トリンプ・インターナショナルの日本支社長。ニュージーランド経営協会会員。
1998年、インターナショナルWho’s Whoのプロフェッショナル部門の名誉メンバーに選出。2001年、21世紀アチーブメント賞受賞。 ニュージーランド・オークランドのマッセイ大学で経営とリーダーシップについての講座も持つ。


ブライアンより一言

人間は安易な道を選びがちな生き物です。しかしあなたが成功を望むなら、目の前の娯楽や気楽さを犠牲にして時間やエネルギーを注ぎ込むという形で、その対価を支払わなければなりません。しかも成功を「手に入れる前に」(!)支払う必要があります。つまりリスクをとらなければならないのです。そこで多くの人は、この支払いを避けようとします。楽をしてお金を儲けたり、何かすばらしいものを手に入れたいと夢想するのです。
でも、誰かがめざましい成功を目前にしており、周囲からうらやみの目を向けられるときには、その人は対価をすでに支払済みなはずです。花を楽しみ、実りを享受するには、まず種を蒔き(リスクをテイクして目標に向かい)、肥料を与え(日々リスクをコントロールしながら遂行し)なければならない。聖書にも書かれているとおり、これは昔から変わることのない真実です。

私が開催するセミナーで「自分がそうはなりたくない状況が思い浮かびますか?」と聞くと、だれもが「いやあ、こういう身の上になるのはごめんですよ」とすぐ答えられます。でも「あなたが達成したい望みは何ですか?」と尋ねると、ほとんどの人は即答することができません。
ゴールを決めるには、まず「自分は何を喜びと感じるのか」を深く自分に問いかけてみましょう。その答えは人と同じである必要はありませんよ。
あなた自身が本当に望んでいることは何でしょうか。

「どこに行くべきかがわからなければ、どこへもたどり着くことはできない」

林衛よりコメント

人はより安全な道を取ろうとするあまり、周りの人と同じような行動をしがちです。
だが、本来人間は一人一人違う。仏教の「天上天下唯我独尊」は、決して「好き勝手なことをしてよい」と言っているわけではなく、「人はみな一人一人違う、かけがえのない存在である」という教えなのです。自分の望むところを成し遂げようとするなら、人と違って当たり前です。
私はかねてから「リスクはヘッジするものではなくテイクするものである」と言い続けてきました。あなたが心から「こうであってほしい」と望むのは、現状とは違う状態であるはずです。その実現には高いハードルを越える必要があります。低いハードルばかり設定していたのでは、現状と大差はありません。すばらしいことを望むほどハードルは高くなります。もし、今の収入を倍にしたいと考えたら、倍の努力では足りません。今までやったことのないこと、やったことはあってもそれほどのレベルでは挑戦したことのないことをやり遂げる必要があります。
そこで大切なのは、リスクをテイクし、なおかつリスクをコントロールすることです。潜在しているリスクはやがて顕在化し、目標達成の障害となるからです。
人と違う存在になりたければ、本当に望みを達成したければ、目標を下げてはいけません。目標を下げて安心して、失敗するのもよくあることです。強い意志を持ってリスクをテイクしコントロールしましょう。
大半の人間はチャレンジを避けます。一度もチャレンジせずに終わる人も多いのです。残りの人も小さなチャレンジに成功すると守りに入りがちです。チャレンジし続けることを選んだ段階で、あなたはすでに他の人たちよりも抜きん出ています。最初のチャレンジは大変ですが、2,3回経験すると自ら新たな課題を設定してチャレンジを楽しめるようになるのです。

第7回につづく

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林衛
IT戦略とプロジェクトマネジメントを中核にITビジネスのコンサルティングを行うアイ・ティ・イノベーションのファウンダーであり社長を務める。◆コンサルの実践を積みながら英米のIT企業とかかわる中で先端的な方法論と技術を学び、コンサルティング力に磨きをかけてきた。技術にも人間にも精通するPM界のグランドマスター的存在。◆Modusアカデミー講師。ドラッカー学会会員、名古屋工業大学・東京工業大学などの大学の講師を勤める。

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