私の考えは、こうだ。「いまこそ真剣に方法論に取り組むべき!!!」
6ヶ月間ITプロジェクトを実施すると管理すべきタスクの数は、どれぐらいになるだろうか想像したことがありますか?
クライアントサーバ系のプロジェクトで、大体50程度の上位タスクが存在し、これら50のタスクは、更に明確なサブタスクに分割され約300の実施しなければならないサブタスクになります。
これらのタスクに、具体的な要員を割当て、開発を実施すると1500−3000程度の実行単位になります。
プロジェクトの規模が大きくなるとすぐに万の桁になります。
プロジェクトの一つ一つの作業は、単純だが、全体としては、かなり複雑な作業の組み合わせになります。
信頼のおける開発方法論とプロジェクトマネジメントは、当たり前に必要だと考えるのが常識です。
複雑なものを作り上げるときにフェーズ分割を実施し、明確な意味のある段階に分けることと建築や電子回路、飛行機、自動車などの設計同様に、共通の図面や図式を用いて正確で確実な方法でプロジェクトを進める方法が、モデルベース開発方法論です。
個人的な経験のみを頼りとし、体系的な方法無しで作業をすれば必ずどこかで失敗をしてしまうでしょう。
一般的なシステム開発方法論では、40数種類のモデル化技法・テクニックが利用されていますが、これらをスキルが低いメンバーで実施するためになかなかうまく行きません。また、多くの利害関係者が意見を統一し決めなければならない場面が10箇所程度あるので、しばしば意見が統一できなかったり、纏めることができなかったりして失敗します。マネジメントと技術が両立して初めてうまく行くのです。
モデル化方法論の原理は、エンジニアリング的な視野に立った「見える化」であり、以下の利点があります。
・口頭よりも文章は正確
・文章よりも図面が、正確になり、対象物の構造とルールを明確化
・さらに業務/システムを分析したり設計したりするシステムを活用すればより正確で、スピードアップ
・同じ方法を用いれば失敗しにくくなり、蓄積した成果を再利用することにより生産性が向上するはず
システム開発の難しさは、人の意識や考えが見えないことは承知であると思いますが、開発の成果物も良く見えないことが、難しさの原因となっています。
プロセスと成果を「見える化」する方法が、モデルべース開発方法論です。
これらへの阻害要因は、人材への動機付け、育成であります。このことこそ経営者が取り組むべき課題です。ここ10年余り、マネジメント力と分析、設計能力がなかなか向上しないのが業界の傾向です。