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機械学習モデルの種類とデータの種類を知ろう:AI活用の第一歩


経営層や部門責任者にとって、AIや機械学習を用いたデータ活用は競争力を高めるための重要な戦略です。特に、企業がどのようにAIを活用した業績向上を実現しているのかに関心を持っている方々が増えています。
本記事では、機械学習モデルの種類と、それぞれに必要なデータの種類、さらにモデル選定時のポイントについて解説します。これを理解することで、企業が直面しているデータ利活用の課題とその解決策を見つけ、効果的なAI活用を進められるようになります。

1. 機械学習モデルとは?

機械学習モデルは、データから規則やパターンを学習し、予測や分類を行うプログラムです。第三次AIブーム以降、AIを活用したビジネス課題の解決には欠かせない技術であり、売上予測や顧客セグメンテーション、不正取引検知など、実際にAI活用の成功事例に基づいた多様な用途があります。ケース別にどのような機械学習モデルを選択すべきか理解し、自社の課題解決に役立てましょう。機械学習モデルの選択は、業界特性や解決すべき課題に応じて異なり、企業の成果に大きな影響を与えます。

2. 機械学習モデルの種類

機械学習モデルは、大きく以下の3つに分類されます。それぞれの特徴を理解することで、業務ニーズに最適なモデルを選択できます。

2.1 教師あり学習

教師あり学習は、入力データとそれに対応する正解ラベルを用いてモデルを訓練する手法です。すなわち、入出力の関係を学習し、未知のデータに対する予測を行います。予測精度の高いモデル構築が可能で、以下の2つの主要なタスクがあります。

  • 分類(Classification)

    データを特定のカテゴリ(離散値)に分類します。例えば、社員の離職予測や、顔認証システムに活用されます。

  • 回帰(Regression)

    連続値を予測するタスクです。例えば、将来の売上予測やイベントの申込人数予測に活用されます。

実例

金融業界では信用リスク評価に分類モデルが使用され、製造業では需要予測に回帰モデルが用いられています。

2.2 教師なし学習

教師なし学習は、正解ラベルのないデータからパターンや構造を見つけ出す手法です。未知のデータ構造を理解することに適しており、以下のタスクがあります。

  • クラスタリング(Clustering)

    データを似た特徴でグループ化します。例えば、マーケティングでは、顧客を購買パターンごとにセグメント化してターゲティングを行う際などに利用されます。

  • 次元削減(Dimensionality Reduction)

    高次元データを低次元に圧縮することで、可視化や計算効率の向上を図ります。例えば、画像データを圧縮し分析する際などに利用されます。

実例

マーケティング活動において、MAで蓄積されたデータからクラスタリングモデルを活用して顧客属性を分析し、新規サービスの案内を行う例があります。

2.3 強化学習

強化学習は、シミュレーション環境と相互作用しながらエージェントが試行錯誤を通じて最適な行動を学習する手法です。最適化問題や自律制御システムの開発に適しています。

実例

物流業界では、倉庫内の効率的なAGVのルート制御やロボット制御に活用されています。また、ゲームAI金融取引の自動化システムにも採用されています。

表1:機械学習モデルの種類
教師データ
(正解となるデータ
主要なタスク 実例
教師あり学習 必要 分類、回帰 社員の離職予測、顔認証
教師なし学習 不要 クラスタリング、次元削減 売上予測、申込人数予測
強化学習 環境上で試行して与えられる 最適化問題、自律制御システム ゲーム、ロボット制御、金融取引

3. データの種類とその活用法

  • 構造化データ

    行と列で整理されたデータ形式。
例: 売上データ、顧客リスト

  • 非構造化データ

    動画や画像、音声、テキストなどのデータ形式。
例: SNS投稿、顧客レビュー

  • 半構造化データ

    JSONやXMLのように、部分的に構造を持つデータ形式。
例: IoTセンサー情報、WEBアクセスログ

4.機械学習モデルを選ぶ際のポイント

適切なモデルを選ぶためには、以下のポイントを考慮する必要があります。

4.1 解決したい課題に適したモデルか

分類、回帰、クラスタリングなど、モデルが得意とするタスクは異なります。目的に応じた最適な機械学習モデルを選択することで、効果的な課題解決を進められます。

4.2 求められる精度の高さ

求められる精度が低い場合では計算量の低い軽量モデルが適し、精度が高い場合では複雑なモデルが必要です。特に、大量のデータと高精度な予測が求められる場合、複雑なモデルを利用することが一般的です。

4.3 計算速度とリソース

大量のデータ学習やリアルタイム処理が必要な場合、計算速度が速く、リソース効率の良いモデルが有利です。リアルタイム処理の上下限を検討して、最適なリソース配分を行いましょう。

4.4 データの種類と量

機械学習モデルを学習させるためには、十分なデータ項目数とデータ量が準備できているかを確認する必要があります。特に非構造化データが多い場合には、ディープラーニングのような複雑なモデルが効果的です。

4.5 モデルの解釈性

経営層や現場への説明が多く求められる場合、疑似相関などに注意し、解釈性の高いモデルを選択すると、意思決定をスムーズに進められます。

5. まとめ:機械学習モデルを活用して未来を切り開く

AI活用による業績向上は、適切な機械学習モデル選定によって実現可能です。特に、モデル選定時のポイントを押さえることで、企業が自社のデータを適切に活用し、効果的な機械学習モデルを選択することで、AI導入による成果を最大化できます。
まずは、データ収集と適切な機械学習モデル選定から始めて、自社のAI活用を進めていきましょう!

(参考)AutoMLの活用

AutoML(自動機械学習)で、データサイエンティストのような専門的知識がなくても、最適なモデル選定が可能になります。企業のAI導入をサポートするAutoML機能の活用例をご参照下さい。

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伊藤成顕
大手製造業にて、新設工場の大規模システム構築、IoT構築やAI含む高度なシステム開発などに従事。過去蓄積したノウハウを活用し、DX戦略、DX実現の支援を行うアイ・ティ・イノベーションにて、お客様と共にプロジェクトの成功に奔走している。

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