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データ利活用におけるBIツールと予測ツールの違い


データの活用は、現代のビジネスにおいて欠かせないものとなっています。どの企業も、多くのデータを収集し、それを基により良い意思決定を行おうとしています。その中で、よく耳にするのが「BI(ビジネスインテリジェンス)」と「予測」です。しかし、これらは一体何を意味しているのでしょうか?
今回は、これらの違いについて、わかりやすく解説します。

1.「BI」とは?
「BI」というのは、過去や現在のデータをわかりやすく整理して可視化することです。「BIツール」のイメージとしては、例えば、膨大な売上データをグラフや表にして、一目で「どの商品がよく売れているか」「どの店舗が頑張っているか」を理解できるようにします。BIツールを使うことで、普段は見えにくいデータのパターンや傾向を、虫の目・鳥の目で簡単に把握することができます。

2.「予測」とは?
一方で、「予測」という言葉自体は、普段の生活でも使います。「明日の天気を予測する」とか、「次のテストの点数を予測する」などです。ビジネスにおける「予測」も同じ考え方で、過去のデータを元にして、これから起こることを見通すことを指します。例えば、「過去の売上データを分析して来月はいくら売れるだろうか?」と検討することが、ビジネスにおける予測です。この予測を行うためには数学的な計算やコンピュータの力を借りることが多いですが、最終的な目的は「未来をできるだけ正確に知りたい」ということです。

3.BIツールと予測ツールの違い
ここまでで、「BI」と「予測」がそれぞれ何をするものなのかが見えてきました。では、これらの違いは何でしょうか?

①:時間軸の違い(現在 vs. 未来)
BIツールは、今の状況や過去の出来事を理解するために使います。一方で、予測ツールは、未来の出来事を予測するために使います。つまり、BIツールは「今何が起きているか」を知るためのものに対して、予測は「これからどうなるか」を見通すものです。

②:アプローチの違い(半定量的判断 vs. 完全な定量的判断)
BIツールは、非専門的な簡単なデータ操作・データ演算を基に人間が考察することで、現在及び近い未来に関する洞察を得ることができるように設計されています。一方で、予測ツールでは機械学習アルゴリズムなどの複雑な計算やデータマイニングを駆使してデータ分析を行います。結果として、定量的な判断を得ることが出来、BIツールの活用よりも属人性は無くなります。

③:速度の違い(非高速な判断 vs. 高速な判断)
BIツールは、可視化した上で人間が検討をする為、どうして判断に時間がかかってしまいます。したがって、例えば、現在のビジネスパフォーマンスを評価し、業務改善に役立てるために使用されます。一方で、予測ツールは、リアルタイムな処理や短期間での計画策定を実施するために用いられることが多いです。例えば、需要予測に基づいて在庫を最適化する、自動車保険において運転時のリスク予測に基づいて保険料を設定する、といった具合です。

表1:BIツールと予測ツールの違い

BIツール 予測ツール
判断の時間軸 現時点の前後のみの判断 現時点だけでなく遠い未来も判断可能
判断のアプローチ 半定量的判断 完全な定量的判断
判断速度 非高速な判断 高速な判断

 

4.BIツールの利点と課題
BIツールの大きな魅力は、簡単に可視化できることです。誰でもデータを見える化して、ビジネスに役立つ情報をすぐに得ることができます。しかし、BIツールはあくまで現在と過去のデータに基づいているため、将来の予測や高速な判断にはあまり適していません。また、ツール自体の導入にはコストがかかることや、複数のデータソースを統合するのが難しい場合があることも、課題として挙げられます。

5.予測ツールの利点と課題
予測ツールを使うことで、将来のリスクを減らし、チャンスを最大限に活かすことができます。例えば、売上が伸びる時期を予測して、そのタイミングで在庫を増やすことができれば、ビジネスチャンスを逃さずに済みます。
ただし、予測にも課題があります。まず、予測が正確であるためには、質の高いデータが必要です。データが不完全である場合やデータがある値に偏っている場合では、予測の精度が低下してしまいます。これらの学習データの質に関する見極めが必要となります。

6.まとめ
予測とBIツールは、両者ともデータを利活用するために重要なツールですが、使い方や目的に違いがあります。BIは、現在と過去のデータをわかりやすく整理し、現状を把握するために役立ちます。一方で、予測は現時点だけでなく未来の出来事も見通し、ビジネスの戦略を立てるために役立ちます。
企業がこれらのツールを上手く使い分けることで、より効果的なデータ活用が可能となり、競争力を高めることができるでしょう。



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伊藤成顕
大手製造業にて、新設工場の大規模システム構築、IoT構築やAI含む高度なシステム開発などに従事。過去蓄積したノウハウを活用し、DX戦略、DX実現の支援を行うアイ・ティ・イノベーションにて、お客様と共にプロジェクトの成功に奔走している。

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