「すみません、炭の在庫を切らしておりまして・・・」
かなり昔の話ですが、キャンプに行った山奥のキャンプ場で調理用に木炭を買おうとした際のスタッフの言葉。
届く予定であった炭が、仕入先のミスで配送が翌日になってしまうとのことで。
う~ん薪を使って調理するか~でも鍋がススだらけになって洗うのが大変だしな~と悩んでいると、
「少々お待ちいただけますか?」
と言い残してスタッフは奥の部屋に入ってしまいました。
少々長くなるのでこの続きは後回しにするとして、今回は「システム開発を委託するパートナー企業をどうやって選ぶか」についてお話ししたいと思います。苦労して練り上げた企画、システム開発で失敗してしまうと絵に描いたモチになりかねません。パートナー企業を選ぶためのポイント、私見も含めご紹介いたします。
皆さんシステム開発会社を選定する際、各候補企業からの提案内容を評価するための観点を決められていると思いますが、どのような観点を含めるのか、どの観点を重視するのかが悩ましいところですよね。
「RFP(提案依頼書)に記載された要求事項・委託内容を満たすソリューション・作業内容を提案いただけているか」と、「見積金額が妥当か」という観点が基本にはなりますが、様々なリスク・困難を伴うシステム開発プロジェクトを共に進めていくパートナーを選ぶ訳ですから、幅広い総合的な観点から評価を行うことが重要となります。
例えば、
① 資料作成力
システム開発プロジェクトでは委託先に様々なドキュメントを作成していただくことになります。従って、正確で整合性の確保された資料か、読み手の立場を考慮し読みやすさが工夫されているか、ストーリー立てられ理解しやすい説明となっているかなど、提案書の出来栄えから資料作成の実力を評価しておくべきです。
② PM(プロジェクトマネジャー)のコミュニケーション力
システム開発の作業はまだまだ人手に頼る部分の多い仕事です。コミュニケーションが非常に重要な要素であり、顧客側や開発メンバー達と適切なにコミュニケーションを図れるPMの存在がプロジェクトの成否に大きく影響を与えることになります。
提案書のプレゼンを参加予定のPMに実施して貰い、コミュニケーション力を評価するやり方はよく行われる手法です。
③ 企業自体の実力
委託先のプロジェクトメンバーが、委託先企業の組織的バックアップをどれだけ得られるかも評価の観点となります。
企業としての実績や保有しているノウハウ、品質管理部門による支援やプロジェクトを効率的に進めるための作業標準・仕組の整備度合いなども確認しておきましょう。
といった観点も盛り込み、多面的に評価が行えるようにしておくことが必要になります。
そして、私が特に重視すべきと考えているポイント。
④ 顧客志向
「顧客側と委託側が目的を共有し、相互に協力しながら進めていくこと」がプロジェクトには不可欠です(プロジェクトでは「セイムボート=同じ船に乗ること」が大切とよく言われますよね)。
システムを完成させることを目的として捉えるのではなく、顧客側が求めていることを理解し、その背景や意図を推察しながら顧客側のビジネス価値を高めるために何が必要なのかを考える、そのような姿勢や力があるかを見極めておくべきです。
例えば、RFPには直接記載されていなくても「御社のビジネス環境や昨今の業界動向から、このようなビジネス上の目的を実現するための取り組みであると拝察しました」などといった内容が含まれていれば、そのような考え方ができる企業であると判断することが可能です。
また、RFPに掛かれた方法とは異なるものの、ビジネス上の目的から考えた場合「より最適な実現手段」や「プラスアルファの内容」が対案として提示されていれば、そのパートナー候補は高く評価すべきと言えるでしょう。
それでは今回のアンサー。
A多面的観点から総合的に評価しましょう。なかでも顧客志向を持っているかの観点は重要です。
冒頭のお話の続き。
奥の部屋から出てきたスタッフの回答は以下のようなものでした。
こちらのガスバーナーのレンタルはいかがでしょうか。これだとススも出ませんし調理しやすいとかと思います。あと、以前スタッフで集まってBBQをした時の炭の余りが残っておりまして。この通りすこし湿気ていますが300円でお譲りすることができます。
「炭が欲しい」という要求に対して「売り切れです、明日迄待ってください」ではなく、顧客目線での提案をしていただいたことで、私がすっかりこのキャンプ場のファンになったことは言うまでもありません。
それではまた次回!