こんにちは。アイ・ティ・イノベーションの能登原です。
第5回目の最終回は、『DXの価値・評価』について述べたいと思います。
DXと言っても、いろいろな切り口があると思います。データと最新のデジタル技術を利用して、新しいビジネスを創造したり、業務改革を実現したり、あるいはもう少し局所的な観点では、人が行っていた「需要予測」、「生産計画」、「製品検査」などの作業を、AIを利用することで、劇的な精度向上や効率化を図ることもできます。
しかし、いきなり現状の課題に対してAIを利用した失敗あるあるの例として、「PoC(ポック)死」と言われる現象があります。AIのプロジェクトでPoC(Proof of Concept:概念実証)を行ったにも関わらず、想定したほど成果が得られずに、そのプロジェクトが死んでしまうことを指します。
このような失敗を回避するためには、十分な時間を取ってDX戦略を策定することが重要です。
まずは、対象とする課題に対して、DXとして取り組んで実現する目的・目標を明確にすることから始めます。大まかな目標が決まったら、業界や自社の状況、実際に利用するデジタル技術の調査を実施しながら、より詳細なありたい姿や期待効果を決めます。
このようにありたい姿や期待効果を決めた上で、業務・システム要件定義やアーキテクチャの設計を実施します。
しかし、一般のシステム開発とは違い、DX案件ではデータ量やモデル、あるいはデジタル技術の適合度などによって成果がでないことがあるため、すぐに開発に着手するわけではなくて、複数の組み合わせで様々なPoCを実行することになります。
多くのPoCの結果を分析、評価して、当初に定義しておいた期待効果をクリアした結果を得ることができたら、初めて実際の業務・システムに組み込まれて、当初の目的・目標を達成することができます。
DXプロジェクトの成功を評価するためには、当たり前のことですが、十分な時間をかけて戦略を練り、最初に評価基準を決めておかなければ、正しい評価をすることができません。