33年前の思い出を振り返れば・・・
さて、2018年英国・アイルランドへの旅の始まりは、ロンドンからである。
宿泊するホテルは、ロンドンの金融街一角にあるAldgate近くの利便性の良いカジュアルなホテルだ。
ロンドンで有名なホテルといえば、リッツとサボイだろう。リッツは、高級なピカデリー通りある格調ある伝統的なホテルである。また、サボイもリッツに負けない高級ホテルで、コヴェントガーデンに近いテムズ河に隣接している。アフタヌーンティで有名だが、ローストビーフも美味しい。20年ほど前は、このローストビーフ目当てに、外国人(日本人も含め)が多数訪れ、レストランがいっぱいになった。どこにでも出現する観光客の行動特性である。ロンドンにはいろいろなホテルがあり、私は有名なホテルのバー巡りをしたことがある。
ロンドンには、顧客のニーズに会う様々なホテルが用意されている。高級なところにさえ泊まれば良いと云うものではない。宿泊する際に、何が好みでどのようなことを望むかによって、自分の泊まるホテルを選ぶのが良い。私のようにシティにある企業との商談があれば、隣接地のビジネス向きのホテルを選ぶだろうし、カップルであればショッピングや食事を楽しことができる、ある程度の高級ホテルがマッチするだろう。
- ロンドンの変わったところ変わらないところ -
今回ロンドンを訪問して驚いたことが、金融街であるシティの変貌ぶりである。Bankを中心に2キロ四方に、有名なセントポールやバンクオブイングランド、王立証券取引所などの伝統的な建物が並んでいる。これは、昔から変わらないシティ(ロンドン金融街地区の総称)ならではの風景である。しかし、今回それらの伝統的な建物に隣接し、多くの新しいデザインのビルが建設され、新旧がうまく配置され入り混じっているではないか。しかも、日本では見られない挑戦的なデザインのビルが何棟も現れたのだ。この光景は、シティが伝統を守りつつ意図的に変身しているということである。
一方私が33年前に住んでいたラッセルスクェア付近は、建物や雰囲気も昔とほとんど変わっていなかった。さらに、テムズ河沿いのウエストミンスターブリッジ、ビッグベン付近も昔とさほど変わってない。実際、33年前に住んでいたフラットは昔のままで、全く変わっていなかった。日本では30年前の建物は古い部類に属するが、ロンドンでは建物の100年以内は、新しい部類に入るだろう。
- シティから繁華街へ -
Bankから2キロほど南西に歩くと、テムズ河に掛かるブラックフライヤーズブリッジに到着する。この橋は、サウスバンクと呼ばれ、シティの南の端である。行ってみると、なんと橋と並行してブリティッシュ鉄道の駅が新設(私にとっては)されていた。 テームズ河の真上に、新たな駅を創るというのは面白い。また、ロンドンオリンピックの際に、ダウンタウンのいたるところで徒歩で巡る人向けに、15分以内で歩ける場所を示す地図が設置されている。私もその日は、徒歩で10キロほどロンドンのダウンタウンを歩き回った。半径15分の円で、徒歩のスケールが示されている地図看板は便利で役に立つ。
シティ側から、ブラックフライヤーズブリッジを歩いて南側に渡り、河の南側を西に進みむと、20分ほどで、ウエストミンスターブリッジに到着する。その橋を渡ると、ピカデリー、レスタースクウェア、オックスフォードストリート(日本でいえば、銀座、渋谷、新宿にあたる)に行ける。いわゆるショッピング、観光、演劇、音楽、レストランなどが集中している地域で、どことなくおしゃれでセンスがある。昔からの雰囲気を保ちながら新しい街に変身している。ピカデリーサーカスからオックスフォードストリートに入るとすぐに有名店に加わるように、ユニクロが堂々と営業している。この街には、新しい文化を取り入れる度量がある。でも守るところは、ちゃんと守っている。このあたりが、日本の街づくりと違うところだろう。
世界を代表する都市であるロンドンやニューヨークが日本の都市と違うのは、古くからインバウンドの環境が整っていて、繁華街は、休日・平日にかかわりなく外国人が過ごすことができる。実際、木曜日のロンドンは東京の休日のように、海外の人々でにぎわっていた。近年徐々に、東京や大阪、名古屋などの日本の大都市でも変化が始まっている。
つづく