「ITIフォーラム2016 in 名古屋」の開催がいよいよ来週の7月14日に迫ってまいりました。今回の私の講演は、「新ITアーキテクチャ思考の実装 ~ビッグデータ時代への変化を先取りする~」と題して、ビッグデータ時代のエンタープライズ・アーキテクチャ(EA)に焦点をあてています。
私が、特に関心を持っている対象は、ビッグデータ時代に、企業に求められるIT基盤の原則、構造、機能は何かというものです。
「顧客ニーズの変化」、「業界の変化(マーケットの変化と呼んでも良い)」、「技術の変化(例えばセンサーのような要素技術とクラウドのような普及技術の変化)」の3つの変化はそれぞれ互いに影響を及ぼしあい、ある点を越えると世の中に急激な変化をもたらします。そして、更に、それらが次の変化へのトリガーになり、次々と波紋は広がっていきます。今はまさにそういった時代への胎動が感じられる、あるいはまさに殻が割れんとする、そういった時代が到来しているといってよいでしょう。それはワクワクするような時代の到来ですが、このような時代の波の中で、注意しなければならないことがあります。
確かに世の中の関心は、ビッグデータ、IoT、AIといえばロボットや自動運転などの見えやすく分かりやすいものに集中しています。これは、決して間違っていません。しかし、一方で、膨大なデータ、高速処理を行うビジネスアーキテクチャ、データアーキテクチャなどの基盤がより重要です。このことを忘れてはいけません。特に我々ITに携わる立場の人間はこちらを注視しなければならないのではないでしょうか。
他方、残念ながら基盤を運用する方法論や方式に関わる記事や報道は少なく、あまり関心が払われていないように思います。
そもそも、国も都市も企業も長期的に運用することを前提とした、しっかりとした基盤を設計することなしには成立しないのです。それと同じようにビッグデータを様々な新しい要素技術で運用し発展させるアーキテクチャと利用環境(ここではソフトウェアのこと)が極めて重要だということです。
皆さん、7月14日名古屋で開催するITIフォーラムでお会いしましょう。我々のITIフォーラムが啐啄(そったく)の機となるべく、私は話せる限り最新の情報をお伝えする予定です。皆さまのご参加お待ちしております。
▽「フォーラムの詳細」と「お申し込み」はこちら▽
https://www.it-innovation.co.jp/2016/05/02-163040/
◇◆ 林衛の講演概要 ◆◇
今回の講演では、ビッグデータ時代のエンタープライズ・アーキテクチャ(EA)に焦点をあてます。事業活動に関連したデータに着目するとデータは、一方的に氾濫し、肥大化を続けています。
ビッグデータ、IOT、AI、クラウドサービスなど世の中では、キーワードが、盛んに報じられていますが、企業は、このような動向にどのように対処すればよいのでしょうか?
これからの時代は、事業の事情に応じてアーキテクチャを最適化する方法からデータ循環の観点からアーキテクチャを決定する時代に入りつつあります。キーテクノロジーの一つにMDM(マスター・データ・マネジメント)があります。つまり、新たなデータの観点で未来のITアーキテクチャの要件と構造を描くことこそが、事業成功の必須条件となったといえるでしょう。
本講演では、以下の内容で、対処の要点を述べます。
①現状の認識を合わせ、ビジョンの明確化(本質を考え抜き、ビジョンを関係者で共有する)
②EA2.0の本質を明らかにすること
③業務の都合からではなく、データに着目し新しいアーキテクチャをデザインすること
④新時代のアーキテクチャの本質、MDM(マスタ・データ・マネジメント)の実現とメタデータのマネジメント、それに必要なテクノロジーと組織のケィパビリティをチャレンジしながら獲得すること
⑤行動戦略・計画を作成し、実行に移す(小さく開始し、継続的に我慢強く行う)
是非、新時代への対処ついての話に足を運んでください。
※今回は、「アイ・ティ・イノベーション18年の軌跡、未来に向けて」の連載は、1回お休みにします。