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前回は、PMOとして指示を受ける際、コミュニケーションの構造を意識し、ひとつ上の立場で考えることで、建設的なアクションにつなげることを考察しました。ひとつ上の立場で考えることは、組織の中でワンステップ成長するための心の準備にもつながります。
今回は、一見、実際のシステム開発の業務とは直接関係しないように思えるPMPや情報処理技術者などの資格を取得することがどういう意味を持つのかについて、私なりの考え方をご紹介したいと思います。
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「私の履歴書」は、ご存じの通り、日本経済新聞に連載されている人気コラムです。「私の履歴書」で取り上げられた経営者の企業は業績が悪化するというよからぬ噂(うわさ)もあるようですが、著名人の生き様に少しでも触れることは、自分を見直すための良いきっかけとなりますよね。(※1)
しかし、ここで紹介するのは著名人の履歴書ではなく、私=株式会社アイ・ティ・イノベーション/シニア・コンサルタントの工藤武久が、お客様にプロジェクトマネジメントのご支援などのご提案を差し上げる際にいつも提示している業務経歴書です。(一部内容を割愛しています)
あらためて読んでみると、実に長い間システム開発プロジェクトの現場で仕事をしてきたものです。私の業務経歴については、皆様のプロジェクトのご支援を差し上げる機会があれば、その時に詳しくお話しするとして、今回は一番下の部分「その他(保有資格など)」にご注目ください。
ここに書かれているように、情報処理技術者、MicrosoftやOracleなどのベンダー系の資格、そして、もちろんPMPなど、どちらかというと積極的にいろいろな資格取得にチャレンジしてきたほうだと思います。
私自身としては、いろいろな資格を取得してきたことが、たとえば、アイ・ティ・イノベーションへの転職や、プロジェクトマネジメント支援のご提案を差し上げる場合などにもだいぶ有利に働いているのではないかと感じています。なお、当ブログ「新感覚!プロジェクトマネジメント」の執筆を継続していることも、いろいろな面でメリットがあると考えています。
今回は、そんな私が資格取得についてどう考えてきたかをご紹介します。もちろん、携わっている仕事の内容や所属している組織の文化、ご自身の生き方・哲学などによっても考え方が大きく違うことは百も承知です。資格をたくさん取得している奴はいったいどんなことを考えているのだろうか?というぐらいの軽い気持ちでさらっと読んでいただいて、もし、何かひっかかるものが残る人がいれば、ご意見や感想などをいただければ幸いです。
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まず私が読者の皆様に訴えたいことは、実際のシステム開発の仕事に比べて、資格取得は結果に対する責任が軽く、比較的プレッシャーを感じること無く取り組めるということです!
ここで、P子さんが何か言いたそうです。
< 新人P子さん > : 「えー!情報処理技術者試験やPMPに合格するかしないかって、ものすごくプレッシャーに感じるんですけど?」
――― そうですね。P子さんが言うように、確かに試験に合格するかどうかは、プレッシャーが無いわけではありません。
しかし、システム開発プロジェクトの現場で、お客様や上司に対して成果物を提出して評価を受けたり、リスクだらけのプロジェクトを計画通りに推進するために神経をすり減らすことに比べれば、資格試験に落ちてしまうリスクなど取るに足らないものだと感じているのです。
たとえば、さまざまなステークフォルダからあれこれ難しい要求を求められるシステムの企画・要件定義を行ったり、システム障害が発生した際に即座に原因分析を行い対応策を報告書としてまとめてお客様に報告することなどに比べると、高度情報処理技術者試験の論文を書くことなど、なんと気が楽なことかって思いました。多少現実離れした内容でも論文に書くことはできますが、現実味が無いことを要件定義やお客様への報告書に書くことは出来ないので、重みが全く異なります。
ここで、M男氏からも何か意見があるそうです。
< ベテランPMのM男氏 > : 「ふん!資格取得の試験を受けたり、勉強する時間があったら、システム開発のスケジュール遅延を少しでも取り戻すことを考えるのが、わしらの仕事じゃろ!」
――― まあ、それだけ常に追い込まれていれば、もしかしたら資格取得のために時間が取れないのは仕方が無いことかもしれませんね。
でも、1年365日24時間、常にシステム開発の仕事をし続けているわけではなく、食事もしたり、睡眠もとったり、家族との時間もあったり、、、100%ってことは無いはずです。つまり時間の制約はありつつもその中の時間を分割して使わざるをえないのが人間です。そして、限られた時間をうまく使えるようマネジメントするのがプロジェクト・マネージャーの役割であり、自分の時間さえもマネジメントできないようではPM失格です。
物理的な時間配分を均等にできるかはさておき、仕事の時間、家族との時間、自分の時間の3つの時間をなるべくバランスよく保てるように心の余裕を持つことも大事だと思います。
実業務よりプレッシャーは重くないこと、自分の時間配分(バランス)を意識することさえできれば、資格を取得することはメリットだらけだと思うので、あとは物理的な時間を少しでも確保・有効活用してチャレンジするだけとなります。
「プレッシャーの重たい実業務の息抜きぐらいの軽い感覚で、資格取得を目指してみよう!」
< 私の考える資格取得のメリット >
資格を取得できると
1.社内の評価が上がる
2.社外の評価が上がる
3.自信につながる資格取得の勉強をすることで身に付くこと
4.幅広い知識が得られ、物事を客観的にとらえる下地ができる
5.文章読解、文章作成、論理的思考能力向上の訓練になる所属する組織にとっても、お客様から信頼度が増すなどメリットが多いはずです。
だから、多くの会社は積極的に社員の資格取得を支援するのです。
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資格取得の勉強だけに限らず幅広い知識を得ることは、システム開発などの実業務にも大いに役立つはずです。
幅の広さと専門性を兼ね備えた人のことを「T字型人間」とか、「Π字型(ぱいじがた)人間」と呼ぶことがあると思いますが、私は「幅の広さ」と「専門性」に加え「経験」という3つの軸による「3次元逆T字型人間」という呼び方が気に入っています。
実業務の範囲も狭く、周辺知識も浅いため、周辺知識と実業務がまるで結びつかない。
「資格を取っても役に立たない」と考えてしまう。
実業務の範囲が広くなる。周辺知識も少し深くなり、周辺知識と実業務が結びつき始める。
資格取得が自信につながる。ただ、少し経験不足。
実業務の範囲がさらに広く、深くなる。(専門分野)
周辺知識も広く、深くなり、周辺知識と実業務が結びつく。
経験(奥行)もついて、3次元逆T字型人間の出来上がり。新規業務にも無理なく参入可能。
ここまでくると、資格取得が仕事に直結する。
当ブログ「新感覚!プロジェクトマネジメント」では、野球やラグビーなどのスポーツ、音楽や映画など、それに、たとえば私が学生時代に学んだ社会学や歴史などをプロジェクトマネジメントと重ねることで、新しい気づきを得ようという試みをしていますが、「幅広い知識」の範囲は考えようによってはどこまでも広げることができるはずです。極端なはなし、スポーツや趣味など、何をやっても実業務と重ねて考えることで、実業務に役立てることができると私は考えています。
「いつも仕事のことばかり考えている人」と受け取られると逆に幅が狭い人間ということにもなりかねませんが、どの辺でバランスを取るかは人それぞれで良いと思います。せっかく人生の中で多くの時間を費やす実業務に対して前向きに取り組むためには、自分の好きなこと、興味のあることと重ねて考えてみることが有益な方法のひとつだと私は考えているのです。
それでは次回もお楽しみに! < 前回 | 目次 | 次回 >
工藤武久
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※1 「私の履歴書」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』
2016年1月9日 (土) 02:51 utc https://ja.wikipedia.org/wiki/私の履歴書