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来期、そして数年後のありようを皆で共有する


 苦労して山頂に到達し眼下に望む景色が素晴らしいと、苦労して登ってきた疲れも一瞬で吹き飛びます。また登頂という目標に向かい、個々人の体力差をお互いに支えあいながら、一緒に登ってきた仲間と感動を共有出来ると、本当に登って良かったと実感できます。

 登山であれば、その目標と達成するためのプロセスは、誰が見ても明確です。

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 そして登頂までの実行プロセスである『山道を歩く』も、いま自分たちがいる地点と、山頂までの距離や標高差と自分や仲間の体力を考えたときに、今のペースで時間的に登頂し下山するだけの十分な時間はあるのかなど、目標達成のためのプロセスは、いまどのような状況なのかを仲間と共有すること出来ます。

 しかし会社や組織において目標やプロセスを皆で共有し、目標に向かって努力するとなると、登山のように単純には行きません。

 現在某IT企業のある部門において、部門の目標を皆で共有し、目標を達成するために皆が『これなら行ける!』と思える施策を考えるワークショップのお手伝いをしています。

 お手伝いをすることになったきっかけは、部門長の思いとして、これまでトップダウンで指示して部門を運営してきたが、やらされ感を部員が感じているのか、なかなか思ったように部員が主体的に行動出来ていないという課題があったとのことです。そこで部門の大方針は部門長が決めるものの、それを達成する施策は部門の各リーダーと共に一緒に考えることで、各リーダーの主体性を醸成したいとのことでした。

 まず最初にお手伝いしたことは、部門の目標を作成した部門長の思いを我々が伺い、作成された目標にその思いがうまく表現されているのかを点検しました。

 本当に熱い思いをお持ちの部門長、思いが強すぎるがゆえに、目標もやや情緒的な内容になっていました。イメージは、『もっともっとお客様に信頼され、余人をもって代えがたい真のパートナーになろう!』です。

 ところが部員は、その気持ちは理解できても、気持ちだけでは何をどこまで実行しなければならないのか、その程度と到達地点を共有出来ません。そこで部門長がなぜそのような思いを抱いているのか、その背景と達成しなければならない必要性を伺い、部門の目標を整理し直しました。

 そして整理し直した部門の目標を使い、部門長および部門の各リーダーと一緒にワークショップを実施。

 まずは『目標』を各リーダーが理解し、やらなければならないという気持ちになれるのかについて意見交換。結果は良好、特に各リーダーにとってこれまでと違って良かった点は、目標に掲げた内容でなければならない背景と理由、必要性を部門長と議論する時間をきちんと取れたことのようです。

 部門長および各リーダー共に、日々目先の仕事をこなさなければならないという気持ちが強いため、部門の目標に対し部門長から言われたことを個々人が分かった気になり、対処していた事実がありました。これでは一見すると、部門の目標に向かい皆が同じ方向を向いて取り組んでいるようでありながら、個々人が到達したと思っていた先は別々、部門長は富士山に登っているつもりでも、各リーダーは京都に向かい東海道を歩いているかのように・・・

 いまの時期は、多くの組織において次年度の目標と施策を立てているかと思います。立てた目標を真に実現出来るよう、一旦立ち止まり組織の仲間と共有することの重要性を改めて感じた今回の取組みでした。

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竹内博樹
1991年 筑波大学卒業後、三和銀行のシステム子会社である三和システム開発株式会社(現、三菱UFJインフォメーションテクノロジー株式会社)入社。同社にて銀行業務のリテール、法人、国際の各分野において、大規模プロジェクトにおける企画・設計・開発に、主にプロジェクトマネジメントを実行するマネージャとして携わる。また開発後の保守にも従事するなど、幅広い業務でマネージャとして活躍。2004年より当社にて、大規模プロジェクトにおけるPMOの運営およびプロジェクトマネジメント支援や、IT部門の組織改革等、幅広くコンサルティングを手がける。 保有資格:情報処理 プロジェクトマネージャ、PMPほか。PMI会員、PM学会会員。

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