ITリーダー、マネジャーのためのリーダシップ育成コースの登壇を連続して行った。年に10数回の講演と講義の場があるが、連続2日間、同じ講座を実施したのは初めてかもしれない。今回は、30代の若者にプロフェッショナルとしての生き方、考え方、P.ドラッカーの、知識労働者が成果を出すための5つの原則を教えている。この講座は、ドラッカーの枠組みに様々な哲学や私自身の人生経験を加えて設計してある。ワークショップを通して、受講者自身が、自分の強みや思考の癖を明確にし、この先の未来5年間のプロフェッショナルとしての人生設計図を創るというもの。私の役割は、いわば受講生の人生設計のナビゲータである。
私がプロフェッショナルという言葉を大切にしているということは、このブログでも何度か書いてきたと思う。このプロフェッショナルという観点で考えた時に、私は何をきっかけとして起業することになったのか、あるいは、人として、何を生きる糧にし、何を大切にしているのか、など、私自身の経験、来し方について、この講座で受講者に隠すことなく披露することにしている。受講者にも、自分の本質を見直し、講義で、学んだ点、気づいた点を参考に、自分の強みを生かしたプロフェッショナルとしての目標設定を行い、自分の目指す最高の成果を、その内容を披露してもらう。
私が、この講座を始めたのは、2006-7年ごろであるが、実は私自身が誰よりも勉強になっていると感じている。おそらく50回以上様々な形で同様の講義を行ってきたが、一度として同じものはない。私が率直に伝えようとする私自身の来し方も、毎回その認識、披露の方法も変化する。それは様々な受講生から毎回もらっている悩みや、希望、構想、妄想などが私の糧になり、私の考えも進化しているからだ。そして、若い人たちが、私の講義で、何かに気づき、変化するのをうれしく感じる。
人生を旅にたとえると、「明確な目標を持ち旅に学ぶ人」と「ただただ旅しているに過ぎない人」の差は歴然としている。旅には、計画にない“予期せぬ何か”は、付き物である。楽しい旅、苦しい旅、寂しい旅、楽な旅、厳しい旅、いろいろな旅が、私たちには、ある。
要は、旅に学び、次の旅への教訓にする。そのような人生であれば、例え困難があっても悔いはないだろう。
私自身は、自分の歩いてきた人生に悔いはないと考えている。もう一度、人生があれば、同様の人生を目指すに違いない。
このように断言できるようになったのは、数年前からである。
ニーチェは、著書「漂泊者とその影」の中で、人生を最高の旅にせよ!と述べている。
「いろいろな旅人がいるが、旅行先での観察や体験をそのままにせず、これからの自分の仕事や生活の中に生かして豊かになっていく人がいる。人生という旅路においてもそれは同じだ。そのつどそのつどの体験や見聞をそのとき限りの記念品にしてしまえば、実人生は、決まりきった事柄の繰り返しになってしまう。そうではなく、何事も明日からの毎日に活用し、自分を常に切り開いてゆく姿勢を持つことが、この人生を最高の旅にすることになるのだ。」