近年は分からないことがあると、ネットを検索すると様々なことを知ることが出来ます。知らないことを知ることは大切ですが、知ったことを正確に理解し、かつ理解したことから自分にとっての価値を見出し、そして実際に行動し体験することで、本当の意味で理解できたことになると思っています。
しかしそうは思っていても、自分自身、出来ていない事は多いのですが・・・
さて日本の特にユーザー企業のIS部門は、システムのライフサイクル全般に渡り、更地からのシステム構築やメンテナンス、再構築を何度も経験してきたITプロフェッショナルな人材は、いよいよ現役を退役する年齢的に近づいているという現状があります。その方が引退する前に、その一部しか経験できていない人にスキルを継承することに関し、組織の課題としていよいよ本腰を入れなければならないと感じている方が増えてきたように感じています。
筋が良い方は自らの仕事を俯瞰して捉え、また他の方や先人の仕事から租借し学び、日々の仕事で意味を理解しながら生かす努力をしています。
しかし機能要件、非機能要件、もしくは運用要件を実現するためにQCD達成のみに傾注していると、その達成のために仕事をこなす感覚に陥りがちです。この感覚に陥ると、なぜこの仕事を行っているのか? この仕事を行うビジネス上の価値は? といった感覚が薄れてしまいます。そして経験する業務やシステムの領域や工程に変化が無かったとすると、言葉の表現は悪いですが、日本人が得意とする多能工ではなく、単純工になってしまいます。
このような組織にならないよう、経営者は人材を育成することに取り組みます。しかし計画的なジョブローテーションを行うか、仕事の進め方を変えなければ、上記事象から脱することは出来ません。
「やってみなはれ。やらなわからしまへんで」、サントリーの創業者である鳥井信治郎氏が残した有名な言葉です。
やはりこの言葉が意味するところは深く、人はやってみなければ真に理解はできないと私も思います。
そのためにも今後も必要とされるITプロフェッショナルを育成するためには、仕事の大小は関係なく、仕事で経験する場を作ってゆくような仕組みにすることが、今こそIS部門の部門長やIT企業の経営者に求められることであると思います。