先日、ユーザー企業のIS部門長にご昇格された方を訪問しました。同部門において初の女性部長、長年苦楽を共にしてきた同僚と如何に接するのかにご苦労されているとのことでした。
「全上場企業において、積極的に役員・管理職に女性を登用していただきたい。まずは、役員に、一人は女性を登用していただきたい。」(女性が輝く日本へ、首相官邸HPより転載)とあるように、各企業においても本方針に従った取り組みを推進しています。
しかし企業は営利団体であるため、女性だからと言って実力がない方を登用するようなことはありません。
今回お目にかかった方は「きっと女性だから」とご謙遜されていましたが、この方のお話しや、前任の男性部長より数年間お伺いしてきたことからすると、妥当な登用であると確信いたしました。
ではこの方の何が、評価されたのでしょうか?
私は、この方がお客様、自社、パートナー企業の方々とをつなぐ、エンゲージメント力に長けていることが、最大の評価ポイントであると思いました。
Weblio辞書・人事労務用語によるとエンゲージメントとは、『社員の会社に対する「愛着心」や「思い入れ」を表すものと解釈されますが、より踏み込んだ考え方としては、「個人と組織が一体となり、双方の成長に貢献しあう関係」のことをいいます。』と定義されていますが、この方の行動は、例えば次のような感じです。
・親会社や子会社、および組織の論理に関係なく、グループ全体として最終的なお客様にとって価値あることであれば、積極的にステークホルダーを行脚し、対話し、協調を取り付ける。
・縦割り組織であるが故に、組織間で共有すると価値が高まるような事例を、まるで聖職者が教えを広めるかのごとくステークホルダーを行脚し、組織間の触媒となる。
また黒川伊保子著『キレる女、懲りない男』によると、男性と比べた女性の特徴として、次のようなことがあると言われています。
・潜在情報を収集し臨機応変に利用する
・生活空間を大切する
・共感してくれる相手に愛着がわく
・ねぎらいのことばがなければやる気を失う
長く男性社会で硬直化した組織において、実力がある女性が組織の要職に就くことにより、これまで以上の価値を創造できるのではないか、そのようなことをこの方とお話しをして感じました。