早いもので、今年もあと約2週間で終わります。
皆さまにとって今年1年は、どのような年であったでしょうか?
1年を振り返るにあたり、今月、日経新聞の”私の履歴書”でフィリップ・コトラー氏がピーター・ドラッカー氏とご一緒された際のエピソードを綴っています。
その中で、次のようなことを書かれています。
私はピーターが企業に投げかける4つの質問に感化された。その4つとはこれだ。
「あなたの会社の本業は何か」
「顧客は誰か」
「顧客にとっての価値は」
「本業はどうあるべきか」
この中の「会社」や「顧客」を次のように置き換えてみると、今年1年、私が多くのお客様が今、真剣に取り組まれていることの本質に突き当たると思いました。
1.事業の視点から置き換えてみる
「会社」を「IT組織/IT企業」に置き換える。
Q1:あなたのIT組織/IT企業の本業は何か?
Q2:顧客は誰か?
Q3:顧客にとっての価値は?
Q4:本業はどうあるべきか?
この問いで、多くのお客様と接し感じたことは、次の通りです。
・これまでIT組織/IT企業は、お客様から言われたことを如何にシステムで実現するのか?その考え方で、これまでは仕事を進めてきた。
・しかしクラウド化が進む中で、システム開発・運用の費用が近い将来激減する可能性が見えている。
・このままの仕事のスタイルを続けていたのでは、現有社員を維持するだけの仕事量を確保できない。
・そのためには、お客様にビジネス価値を向上させる提案を、ビジネスプロセスの変革を含んだ内容で実現しなければならない。
・ところが、頭では理解できている社員は居ても、目先の仕事に忙殺され、行動変革には至っていない。
・現状を放置すると、IT組織は最悪の場合事実上解体、IT企業は一部の企業を除き淘汰される。
2.個人の視点から置き換えてみる
「会社」を「自分自身」、「顧客」を「ステークホルダー」に置き換える。
Q1:あなたの本業は何か?
Q2:ステークホルダーは誰か?
Q3:ステークホルダーにとっての(あなたの)価値は?
Q4:本業はどうあるべきか?
この問いで、多くのお客様と接し感じたことは、次の通りです。
・IT人材に対する企業内のキャリアパス、および仕事の成果を生み出す職種・職務・職能定義が、定義はされていても有効に機能していない。
・よって本問いに対し、個人的な意見で答えることは出来ても、組織人として明確に答えることが出来る人は少ない。
・そのため、目先の仕事をこなすことに忙殺され、プロフェッショナルな人材としてのキャリア意識が薄れる。
・その結果、係長・課長・次長・部長のような職位を目指すことが、キャリアを積むための目標となる。
・しかし今の時代は、より上の職位を目指したいと思い、鼓舞奮闘する人は、20年前と比べ少なくなってきていると感じる。
・一方で海外のIT技術者の技術力は、かなり向上している。
グローバル化が進む中で、日本のIT技術者も英語を活用しなければならない機会が増えてきている中で、これまで日本語という参入障壁が低くなると、とたんにグローバル競争にさらされることになる。そのような状況になったときに、果たして自分は活き抜けるのか?という不安を感じる方が増えてきている。
私自身の振り返りとして、今年のキーワードは2点であり、来年は益々そのキーワードに対する取り組みが加速してゆくと感じております。
来年もお客様の課題に貢献できるような、取り組みをし続けてゆきたい思っております。
・ITプロフェッショナル人材が益々グローバル化している。
・IT組織/IT企業が、ビジネスに付加価値を提供できる存在になれるのか?
最後に今年1年、本当にお世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。
<お知らせ>
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2013年12月以降、当サイトにおきまして連載を継続いたします。変わらぬご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
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