DX(デジタルトランスフォーメーション)推進コンサルティング 株式会社アイ・ティ・イノベーション

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DevOps


今回のブログは、最近IT関連メディアへの露出が増えてきたこの言葉について、私なりの解釈を交えてお話したい。この造語は、開発(Development)と運用(Operation)を合体したもので、開発と運用が協力し合い、より短期間でシステムを開発&リリースし、ビジネス要求に迅速に応えて行く取組みのことである。もともとアジャイル開発やリーンスタートアップの流れから出てきたものだが、私が入社した30数年前のビジネス・システムは、まだ巨大化、複雑化しておらず、これに近い形だったと記憶する。(30年間でシスムが巨大化、複雑化した事が開発・運用の境界を生んだ)

かねてよりエンタープライズ・アジリティを標榜してきた私は、基幹系を除く周辺システムに特化した領域(=一般にアジャイル開発を適用し易い領域)に限った活動ではなく、基幹系ビジネス・システムも含めた全域が、そのターゲットになると考えている。なぜならビジネス要求はシステムの種類や開発方法論とはまったく無関係に発生するものだから。“基幹系”について少しだけ補足すると、その中には一般会計のように滅多に変更が発生しない部分もあれば、管理会計のように頻繁に変更が発生する部分もある。すなわち、ERPで実装したGLはDevOpsの対象に入れる必要はないという事になる。
無題

ビジネスあってのシステムであるから、タイムリーかつ正確に要求に応えられる開発が出来るに越したことはない。願わくは週1回、月1回のタイミングで小刻みにリリースできるのが理想である。さらに、これが実現できれば、開発規模のσ(バラツキ)の極小化によって開発プロジェクトリスクの激減が見込まれる。最悪でも小規模システムの炎上はすぐに燃え尽きるのでダメージは小さい。また、SEのモチベーションは、失敗できない高いプレッシャーから解放され、積極的でチャレンジャブルなものへと変わるであろう。このように、この“原点回帰”はいいことずくめであるが、次の2つの大きな課題をクリアーしなければならない。

1つ目は、ユーザ企業、SIベンダー間の一括請負型アウトソーシングの是正。2つ目は無駄なく小刻みな開発を実行するための、全体の青写真作りである。前者はビジネスモデルの課題であり業界を挙げて取り組んでゆく必要がある。後者は、エンタープライズレベルでアジャイル開発を可能にするために必須となる技術的要件である。アジャイル開発において設計書を書かなくて良しとすることと、アーキテクチャ・モデルを書くことは次元の異なる話である。この青写真の下でなら、多くの小規模アジャイル開発が矢継早に行われても、軌道修正の道標となりプロジェクトを正しい方角へ導いてくれるだろう。前回のブログに書いたThink big, Start small. のコンセプトの下、アーキテクチャ主導を実践すれば、基幹系のDevOpsも決して夢ではないのである。

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中山 嘉之
1982年より協和発酵工業(現、協和発酵キリン)にて、社内システムの構築に携わる。メインフレーム~オープンへとITが変遷する中、DBモデラー兼PMを担い、2013年にエンタープライズ・データHubを中核とする疎結合アーキテクチャの完成に至る。2013年1月よりアイ・ティ・イノベーションにてコンサルタントを務める。【著書】「システム構築の大前提 ― ITアーキテクチャのセオリー」(リックテレコム)

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